会社単位でも、プロジェクト単位でも、「組織」であることに変わりはない。規模によるのだがわかりあえることもあればわかりあえないこともある。本書のタイトルにある「10人」でも「5人」でもわかり合えない、というのは私の経験でも「よくあること」である。
では、この「わかり合えない」組織をいかにして「わかり合える」ようにするのか。本書では世界的に有名な鏡メーカーの「コミー」をもとに組織づくりのあり方を紹介している。
第1章「社員16人の世界企業」
「世界企業」というと数百人、数千人規模の大会社のことを想像する人が多いのだが、「コミー」は社員人数16人と少数精鋭である。少数精鋭の中でいかにして「世界企業」としてのし上がっていったのか、と言うのも気になるのだが、その要因として「コミュニケーション」と「組織作り」が挙げられる。
第2章「思い込みを徹底的に取り除く」
「コニー」の鏡の強みがここに表れている。コニーでは鏡を大量生産しているわけではなく、ユーザの要望に対して、死角の所まで妥協をすることなく作る所にある。「思い込み」も徹底的に取り除き、ユーザの状況から現場に至るまでサーチをしていることによって商品がさらにユーザが満足するような仕上がりになっているのだという。
第3章「本当の「売れた理由」を突き止める」
「売れる」と言う言葉は商売をやっている以上敏感に反応をしてしまう。
しかし「コニー」では「売れた」ことの理由を探ることに着眼点を置いている。これは「成功」と「失敗」にも言えるのかもしれない。「成功」だとプラスの面ばかり向いてしまい、結果的に反省や原因が見えることが少ない。逆に「失敗」は原因が出ているため、その分析は怠ることができない。
しかし「成功をし続ける」となるとどのような要因があるのだろうか、どのように売れているのか、さらには役立っているのかをユーザに聞く、さらには調べることを心がけているのだという。
第4章「小さな組織をむしばむ「ヌシ化」」
結構仕事においても、その人にしかできないことはある。そのことが「ヌシ化」となってしまい、組織の流動化する事が難しくなる。組織でも風通しを良くすることが大事であるとするならば「ヌシ化」は「澱み」となってしまう。
第5章「言葉の定義を厳密に決める」
「言葉」はいかに難しいか、というのは私自身も身をしみて感じている。というのはSEをしている人間であるが、様々なプロジェクトに携わることがある。その中で使われる用語が異なっており、同じ言葉でも定義が違うことはよくある。プロジェクトに入りたての頃はそういった言葉を覚えるのがやっとで用語を誤用してしまい大目玉を喰らってしまったこともある。
本章でも言葉の重要性を大事にしており、毎年のように確認・改定しながら厳密化を進めているのだという。
第6章「「物語化」し、何度も追体験」
「コニー」の組織では問題解決の「プロセス」を分析し「物語」にするのだという。文章化することは、私の所でも行っているが、誰でも入り込めるように「物語」にする事でプロセスの理解も促進し、すんなりと頭に入っていけると言うメリットがあるという。
第7章「人はなぜ成長するのか?」
人は多かれ少なかれ成長する。本章では「コミー」に新しく入った社員たちがどのように組織になじんでいったのか、と言うのを紹介している。
少数精鋭の世界企業のカラクリとともに、組織とはどういうものか、あくまで一例であるが、組織が好調区化しつつある場合に、本書は特効薬になると私は思う。
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