日本と鯨食の歴史は長く、古くは江戸時代に遡る。約300年もの間、日本は食やファッションなど鯨の恩恵を受けていた。しかし現在ではグリーン・ピースやシー・シェパード、さらにはオーストラリア・ニュージーランドなどの反捕鯨国の圧力により、捕鯨そのものが廃れ始めてきた。
本書は日本において捕鯨が発展したのか、そして捕鯨のメリット、鯨食文化について改めて問い直すことを念頭に捕鯨の良さをIWC日本代表代理を歴任した著者が説いている。
第一章「日本の鯨食は、いかに発展したか」
日本では鯨が庶民の口に入り始めたのは江戸時代であると冒頭にて書いたのだが、本章ではまさに江戸時代における捕鯨について綴っている。鯨によって花開いた文化・歴史などがここに詰まっている。「鯨と共に生きる」の礎となった時代を詳しく述べている。
第二章「鯨食は生きている」
鯨の捕獲規制はあるとは言えど、鯨食が完全に廃れたワケではない。いまでもスーパーの魚売場には刺身用の鯨があれば、缶詰売場にも鯨の缶詰が売られている。一昔前盛んに食べられてきた時代よりも少なくなってはいるものの、鯨食文化は生きている証拠である。
さらに著者の生い立ちとともにどのような鯨の食べ方が会ったのかというのも教えてくれる。
第三章「日本全国の鯨食文化を訪ねて」
地方には独自の食文化があるのは周知の事実であるが、鯨も例外ではない。本章では地方独特の鯨料理を紹介しているとともに、著者がIWC日本代表代理時代のIWCの内情についても綴っている。
当ブログではこれまで捕鯨に関する本を取り上げたことがある。
それらの本を読んだ後にスーパーへ行って鯨肉を食べることもあった。直接的な感想としては独特な味であり、それと白飯をあわせるとちょうど良い味である。多少のクセはあるが、そのクセも個人的には好きである。
知られているようであまり知られていない鯨。だからでこそ、私たちはもっと鯨食をふくめて鯨の文化を知るべきではないのか、と私は考える。
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