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「名言」という言葉は誰が作ったのだろうか。
「名言」は「格言」と同じ意味で、

「人間の生き方、真理、戒め、武術、相場、商売などの真髄について、簡潔な、言いやすく覚えやすい形にまとめた言葉や短い文章。」wikipediaより)

とある。私は名言を集めることが好きで、毎年使う手帳の上部には必ず心に残る名言を書き写している。それを続けてもう3年くらいになるのだが、毎回違う名言に出会うことを今でも楽しみにしているほどである。
本書は広告のクリエイティブディレクターが様々なメディアにして残した言葉を159個収めている。

1.「走る」
159の名言を六章に分けて紹介されている。ここではどちらかというと「行動」という位置づけなのかもしれない。
私がもっとも印象に残った言葉は、
「死ぬ瞬間に貯金が一円でも残っていたら、負け」
であるが、これに少し似た名言がある。

「よく聞け、金を残して死ぬ者は下だ。
仕事を残して死ぬ者は中だ。
人を残して死ぬ者は上だ。よく覚えておけ。」

これは関東大震災で復興の陣頭指揮をとり、さらに台湾統治でも陣頭指揮をとった危機管理や復興のカリスマと言われている後藤新平が病魔に倒れる前に言った言葉である。意味合いは少し違えど先の言葉を見る限り後藤新平の言葉を思い出さずにいられない。

2.「変わる」
変化のことについての名言を集めている。ここでもっとも印象に残ったのは、
「東京の一番の利点って、「生まれ変われる」こと。」
である。私は仕事で東京に来てもう3年の月日が流れる。住まいは東京というよりも、川崎であるのだが、実質的に東京にいる時間の方が長いといっても過言ではない。その3年間の中で仕事にしても、人脈にしても、勉強にしても、私自身はその感覚はないのだが、いろいろな「変化」をする事ができた。東京は他の地域と違い「変化」の速度は速い。その中でいろいろなことを学ぶことができるのではないか、と感じてしまう。

3.「漂流する」
「時代の流れに乗る」「世渡り」という解釈でいいのだろうか。
本章において私がもっとも印象に残った言葉は、
「風が吹いていなかったら
僕が風になるだけ
道がそこに無いなら
僕が道になるだけ」
であるが、その中でも最後の2行は魯迅の「阿Q正伝」にある「故郷」の最後の一文を見ているかのような印象であった。しかし本質的にはそれと違っており、この名言は「自分が道をつくる」という意思表示から成り立っているのかもしれない。

4.「つくる」
著者は広告のクリエイティブディレクターであるが、その根幹をなす「クリエイティブ」とは何かの名言を残している。どのようにつくるのか、どのようにつくられるのか、一つ一つの言葉が「クリエイティブ」の種にもなる。
私が一番印象に残ったのは、
「「いつクビになってもいい」
と思いながら会社で働けるか否か」
である。他にもぐっときた言葉はあるのだが、これを取り上げると迷惑TBが乱発される危険性が非常に高いのであえて取り上げない。
私はサラリーマンであり、こんにちは不安定な雇用状況である。そう考えてしまうと安定した状況がほしいためか、新しいチャレンジに対して「臆病」になってしまう。しかし、常に懐に辞表を携えていく、相撲の行司が審判を真剣に行うために短刀を携帯するが如くの態度で望むことにより思い切った行動を起こすことができるという。

5.「ドキドキする」
「モチベーション」という解釈で正しいだろうか。クリエイティブな仕事だけではなく、淡々とこなす事務作業でも、やり方によっては「ドキドキする」様な感覚を覚えることがある。単純作業でもそういった興奮を私は覚えてしまう。
私事はさておき、本章では「モチベーション」についての名言について取り上げられている。
私が、本章でもっとも印象に残っているのが、
「東京は、僕にとっては海外」
である。私が初めて東京の地に足を踏み入れたのは4年前の2月。ちょうど大学3年生の冬である。東京のイメージはまるで「海外」にいるような感覚であったということを今でもはっきりと覚えている。北海道という島に22年感間もいたのだからその感覚に陥るのも無理無いのだが。
しかし著者は私のような「異世界」のような感覚ではなく、あくまで「広く捉える」観点から「海外」と例えているのではないか、と考える。

6.「生きる」
「生き方」なり「生きざま」なり、「どのように生きているか」の答えは世界人口の分、あるいはそれ以上のパターンがある。本章では失敗や成功など生き方に関しての名言を集めている。

名言は歴史上の人物といった偉人ではなくともつくれる。たとえばマンガにでてくるキャラクターの一言が名言になることだってある。本書はインパクトの強い言葉ばかりではあるが、その中で名言もいくつかある。座右の銘にするのもよし、印象に残った言葉の一つに添えるのもよし、ビジネスに限らず様々な用途で「使える」一冊とも言える。

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