世界を、こんなふうに見てごらん

動物の見る「世界」は実に不思議なものである。本書は動物行動学者が綴った動物の視点と自らの視点をあわせ持ったエッセイ作品集である。

全部で10編のエッセイと1編の講演録が収録しているのだが、チョウをはじめサル、クラゲ、イルカなど多種多様な動物についても描いており、どの動物一つ一つの紹介をしている文章に動物そのものの躍動感を感じてしまうことさえある。動物を見る愉しさ、そしてその行動を知る愉しさを優しいタッチで教えてくれるような作品であった。

惜しくも著者は本書が完成する直前に肺ガンの為亡くなられた。あとがきの部分だけは著者ではなく、著者の研究室を引き継いだ今福道夫教授が著者への感謝と追悼の念を綴っている。

「生涯動物を愛し、そして動物の研究とともに生きた証」それがこの10編のエッセイと1編の講演の中にすべて詰まっているように思えてならない。

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