パーソナル・プラットフォーム戦略

これまで「プラットフォーム」は一部の大企業などでしか構築することができなかった。ウェブの隆盛や企業・仕事のあり方が変化したことによって「ひとり社長」など自らを「プラットフォーム化」することができる。キャリアや仕事そのものが変化しつつある中で、本書では自分そのものを「プラットフォーム」化のすすめを表している。

第1章「自分をプラットフォーム化するとはどういうことか」
著者は「おサイフケータイ」を考案し、構築に尽力を果たした。その中で「プラットフォームの構築」に大きく関わったことにより、「プラットフォーム」に関する著書も多く出版された。
本章では自らの経験を交えながら「プラットフォーム」の重要性を説いている。

第2章「ソーシャルメディアが「ひとり社長」の時代を創る」
ソーシャルメディアはmixiなどのSNSサイトやブログなどが挙げられるが、もっとも最近ではTwitterやFacebookが急成長している。本章ではそのソーシャルメディアを利用して「ひとり社長」の時代が到来することを予見しつつ、「ひとり社長」となるための戦略を紹介している。

第3章「プラットフォーム・シンキング」
なかなか聞き慣れないが、簡単に言うと「自らの考えや発想をみんなのもの」にしていくことを言う。この考え方も「おサイフケータイ」から来ているのだが、その考えがでてきた大きな要因として自らの考えが、全社プロジェクトに発展したときからである。本章ではそのエピソードを交えながら考え方についてを紹介している。

第4章「プラットフォーム情報整理術」
アイデアや情報は人とともに集まってくる。著者は「アライアンス・ランチ」をするとともにそれを実感している。「アライアンス・ランチ」については前著である「すごい人脈は昼1時間で作られる アライアンス・ランチの教科書」に取り上げられているが、本章ではこのほかに一般公開情報を使った情報収集についても取り上げられている。

第5章「プラットフォーム人脈術」
ビジネスであるからでこそ、リアル・バーチャル問わず「人対人」が大事となってくる。とりわけソーシャルメディアが隆盛しているからでこそリアルの出会いが重要になってくる。さらにそのリアルの出会いの中で「また出逢える人」になることで人脈そのものを強固にすることができ、人脈にも広がりをつけることができる。本章ではそうするための方法や心構えについて紹介している。

第6章「プラットフォーム勉強術」
勉強というと独り机の上に向かってやるものだ、と考える人も多い。それは学校などの勉強のことを言っているだけであって、社会人になるとこの限りではない。前述の座学はもちろんのこと、学んだことを仕事の場で落とし込んでいく「実学」、さらに様々な人と知識やノウハウ、考え方を講義やワークショップ形式にて共有していく「勉強会」と、「勉強」というだけでも枚挙に暇がないが、プラットフォームというと「勉強会」を連想してしまうが、本章ではそれらのことについてを取り上げているが、本章の最後には著者自身が体験した「最大の修羅場」も取り上げている。私が本書の中で最も印象に残っていたところであり、ビジネスやマネジメントとしての考え方を教えてくれる所である。

第7章「プラットフォーム・キャリアアップ術」
「プラットフォーム」を作りながらキャリアアップをしていくことを、著者自身の失敗談を交えながら紹介している。

「プラットフォーム」の考え方は昔からあったのだが、それをビジネスとしても、キャリアとしてもそれを定着させたのは著者によるものが大きい。終身雇用制の崩壊、ソーシャルメディアの急成長によって「プラットフォーム」そのものがより身近に、より重要なものになっていることは周知の事実である。自ら「プラットフォーム」を構築することにより一人だけではできなかったものを可能にする、本書はその可能性を秘めていると言っても過言ではない。