観光の目玉~物語を生かした地域旅~

旅行は人間としての見識のみならず、様々な意味で幅を広げさせる。わたしも今年の5月に初めて単独旅行をしたときには萩・神戸・名古屋と言ったがそれぞれの場にて斬新な体験をすることができた。

本書は観光で「地域活性化」をさせるための方法を事例と「物語」とともに紹介している。

第1章「ポストZERO年代の社会と観光」
「観光」の形態は時代が変わるにつれて変わってくる。戦後日本でも飛行機の誕生から旅行業界の勃興などがあった。そのためか、自由な旅行もあれば、旅行会社のパッケージ旅行もあれば、電車や飛行機を使うことにより、移動手段も増えていった。

第2章「境港「水木しげるロード」徹底研究」
今年の春の叙勲にて水木しげる氏は文化功労者となった。「ゲゲゲの鬼太郎」やその源となった「墓場鬼太郎」などが有名である。また朝の連続テレビ小説でも「ゲゲゲの女房」の原作となった。
それはさておき日本一の漁港である境港があることで知られる鳥取県境港市では1992年に「水木しげるロード」がつくられ、地域活性化の一環として話題となった。もともと水木しげる氏の出身地にあることからそれにちなんだ「ゲゲゲの鬼太郎」でもって地域活性化を図ろうとしたのである。
あれから19年間、「水木しげるロード」が誕生する前も、誕生した後でも数多くの難題が立ちはだかったが、それを一つ一つアイデアを出しながら解決していくさまについて本書では描いている。

第3章「もっとある! 地域力演出に役立つ「物語」」
「水木しげるロード」のみならず、最近ではマンガやアニメ作品で「地域活性化」させる、いわゆる「聖地巡礼」の旅が話題にあがっている。一例には「らき☆すた(埼玉県久喜市)」「花咲くいろは(石川県金沢市)」が挙げられる。
他にも伝説や民話などを地域活性化の材料として使うこともある。岩手県遠野市の「遠野物語」がその代表である。

「地域活性化」は経済的に疲弊している地方にとっては至上課題の一つと言える。最も観光の目玉をどれにするかについては、地方自治体にとっても悩みの種であり、地域住民や発展の間で悩む地方も少なくない。だからでこそ観光の目玉をどうしたらよいのか、というのを本書ではそれを示している。「水木しげるロード」が中心となっているのと「目玉」を力説したいことにちなんで、で本書のジャケットに「目玉おやじ」としているのだろう、と思ったのは私だけであろうか。