だから、僕らはこの働き方を選んだ~東京R不動産のフリーエージェント・スタイル~

ダイヤモンド社 市川様より献本御礼。
時代は仕事そのものや技術、それだけではなく働き方そのものも進化している。昨年にダニエル・ピンクの著した「モチベーション3.0」が上梓され、苦役の働き方、から利益の働き方へ、そして楽しみとしての「働き方」へと進化していった。斬新な考え方であるが、それは理想論だと切り捨てる論者も存在した。

しかしそのモチベーションを生かし、「働き方3.0」を実践した企業が存在している。本書で紹介される「東京R不動産」がその実例として上げられている。本書は机上の空論のように思えた「働き方3.0」の姿を自ら示している。

第1章「東京R不動産の仕事」
「東京R不動産」は文字通り不動産業であるが、ウェブ内で展開する不動産紹介サイトを運営している。しかも巷にある不動産屋にはできない「こだわり」にも応じてくれるようにつくられている。
この「東京R不動産」は2003年に社員たった10人の手によってつくられ、現在でも10人だけで運営を行っている。

第2章「会社員とフリーランスの間」
「東京R不動産」は「フリーエージェント・スタイル」という働き方をとっている。いわゆる成果によって報酬が変わるというものである。「成果主義」のようにおもえるのだが、あくまで会社と「契約」するだけで個人の自由と裁量によって決めることができる。「放任主義」なのではないか、と考えたりもするのだがそうでもなく人間関係はゆるくありながら仕事そのものはキチンとやる組織だという。

第3章「良いとこ取りの組織論」
人間関係はゆるくあるものの仕事はキチンとする組織。まさに本章のタイトルにあるような「いいとこ取り」とも言えるような組織を成り立たせている。
だからでこそ遠慮することなく、「おもしろさ」と売り上げの「数字」を目指して邁進することができる。しかしその「邁進」もおもしろさを希求し続けている。

第4章「ビジネスとおもしろさのマネジメント」
「東京R不動産」の仕事の機軸の一つとして「おもしろさ」がある。それを見てみると、ふとこの言葉を思い出す。

「おもしろきこともなき世をおもしろく」

これは幕末の志士である高杉晋作の言葉である。「おもしろさ」を求めること自体が「不謹慎」という風潮が成り立っているように見えるのだが、だからでこそ「働く」「仕事をする」ことの楽しさを希求する組織や会社が必要なのかもしれない。おもしろいことを真面目にやり、個性を大事にしつつ、こだわりを持つ。そのことによっておもしろさをマネジメントしつつ、魅力的な組織や会社としていっている。

第5章「やりたい仕事をして生きる」
「好きなことを仕事にする」ことは良いことか、それとも悪いことか。それは労働観や価値観などで二分される。事実それはどちらも正解である。簡単にいえばそれは人それぞれであるからだ。
しかし好きなことでも、嫌いなことでも、「やりたいこと」であったとするならば、働けば働くほど、楽しさも面白さも増してくる。

最初にも言ったとおり、時代とともに働き方も変わってくる。かつてはモノの豊かさを求めるために働いていた。しかしモノが飽和状態にあるとき、こんどは心に豊かさのベクトルを向け始めていく。そして働き方もそうであるように。

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