昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ

「昆虫」というと、小さい頃の夏休みには昆虫集めにはまった人も少なくないだろう。私はどうか、というと小さな虫でも身をよじるほど虫が大の苦手であったため、昆虫集めはやったことがなかった。

そのような自分が本書を紹介するのもおこがましいが、本書は昆虫の進化と特性、さらには今日の環境問題の関連について考察を行っている。

第1章「昆虫とはどんな生物か」
「昆虫」と一括りにしてもいろいろいるのだが、生物学上では「節足動物」の一部に属している。つまり複数の足をもつ生き物の多くが「昆虫」に分類されるのだろう。

第2章「昆虫たちのみごとな進化」
昆虫には様々な種類がいるように、進化も様々である。本章ではチョウやハチの進化をもとにどのように進化していったのか表している。

第3章「昆虫が群れるわけ」
昆虫はよく群れる。しかしなぜ群れるのか、本章を読むまでわからなかった。そもそも群れるのはいつ頃か、というと他の動物などを襲うとき、餌にありつくときなど様々である。フェロモンも群がる一因として挙げられているが、フェロモンだけで片づけられるほど単純なものではないようだ。

第4章「生態系における大きな役割」
昆虫も他の動物に限らず食物連鎖が起こっている。昆虫は植物の媒介役としての役割を担っており、食物連鎖の上できわめて重要な位置にいるのだという。

第5章「地球温暖化センサーとしての昆虫」
地震などの災害が起こる直前にニワトリなどの動物も即座に危険を察知し、知らせる。天変地異とまでは言わないものの大量発生などで地球温暖化など環境面での異常を察知することが昆虫にはできるという。

第6章「昆虫と人類の闘い」
簡単に言えば昆虫を「害虫」と扱う人間とのイタチゴッコについての考察である。前章にも言ったように環境の変化による昆虫の大量発生と、それの駆除をどうしていったのか、それが繰り返されイタチゴッコの状態となっているのが現状である。

第7章「害虫を上手にコントロールする」
その「害虫」を上手にコントロールをするにはどうしたらよいのか、その一つの手段として「害虫管理」を取り上げている。害虫を完全に根絶するのではなく、一定の数になるよう駆除や繁殖をさせる方法である。

第8章「バイオミミクリー革命と昆虫」
最近では昆虫にある力をもって食品や工具など様々な場面で活用されている。たとえばスズメバチの幼虫からでるアミノ酸液から作られる「VAAM」もその一つである。

昆虫は不思議な存在である。時には食物連鎖で大事な存在とされ、人間に忌避されると思いきや、食品や工具に利用されることもある。しかし生物学でも昆虫は解明されていないところが多く、昆虫の謎はすべて解き明かせたわけではない。その「謎」の部分が後に私たちの生活に役立てられる、その可能性を秘めているのかもしれない。