降水確率50%は五分五分か

TVやインターネット問わず気象情報は誰でも見る。しかし気象情報の中には私たちがふと疑問に思うような「気象用語」が存在しており、ちんぷんかんぷんに陥ることも少なくない。
本書のタイトルにある「降水確率50%」は雨になるかどうか五分五分か、ととらえがちであるが、あくまで降水確率は「雨が1時間に1mm以上降る確率」でしかなく、ちょうど北海道や東北など雪の降る地域では「雪が1時間に2~3cm以上降る確率」であり、降水確率が50%となったら、必ずと言っても良いほど雪が降る、場合によっては吹雪や大雪になる危険性もある。
本書は普段私たちが目や耳にしている気象情報・天気予報の利用法やからくり、さらには地球温暖化についてを取り上げている。

第1章「天気予報の上手な利用法」
天気予報にはタイトルにある「降水確率」のほかに、「注意報」「警報」「雨や雪の強さ」などの解説を行っている。

第2章「なぜ天気は変化するのか」
天気はなぜ変化するのかをより「気象学」という学問に近い観点で説明している。おそらく本書の中では専門用語もあり取っつきにくいところと言えるが、梅雨の時期など身近な内容も取り上げつつ紹介されているためわかりやすい。

第3章「激しい気象現象」
毎年夏から秋にかけて日本列島を直撃する台風であるが、今年は台風による被害は過去10年間でも最悪の規模であり、東日本大震災とともに、甚大災害として取り上げられた。
台風の誕生は赤道直下の東シナ海であるが、その台風が勢力を強めること、あるいは巨大化する理由について本章では論じている。

第4章「天気予報に欠かせない、気象データ」
「気象データ」とは現在の気象状況のデータのことを言っており、天気予報を立てるには欠かせない。気象データそのものを扱っている代表格として「東京アメッシュ」があげられており、突発的な雨やその状況についてリアルタイムでチェックすることができ大いに役立っている。
本章では予報の立て方と気象予報士の試験についてを取り上げている。

第5章「気象の変化と自然」
気象の変化の一つとして雲があげられており、そのほかには波や霧など海や川などに関わることが多い。本章ではそれについて取り上げている。

第6章「暮らしに役立つ天気の知識」
日本は基本的には温帯が多い国であるが、北海道などの冷帯(亜寒帯)、沖縄などの亜熱帯の地域もあり、気象の幅は広い。
それだけではなく、花粉や桜、流氷をはじめ、最近では熱中症や紫外線の予報まで存在する。流氷は北海道のオホーツク海側に限られるが、他は全国的にも身近なものが取り上げられているため、天気予報を使い倒さずにはいられなくなる。

第7章「地球温暖化と異常気象」
このごろ極端に厳夏や冷夏、あるいは厳冬や暖冬になることがあり、そのことにより「地球温暖化」と言われる。しかしそれが遠因にあるとはいえ、それで終わってしまうのもどうだろうか。本章では最初に取り上げた現象について「エルニーニョ現象」や「ラニーニャ現象」などとともに考察を行っている。

気象予報は今も昔も私たちの生活に密着をしている。しかしその中にはなかなかわからない言葉もあり、そのことにより混乱してしまうこともある。本書はそのようなことを解決するための解説書、と言えるような一冊である。