BUZZ革命

新年あけましておめでとうございます。2012年も「蔵前トラックⅡ」をどうぞよろしくお願い申し上げます。新年一発目はこの一冊です。

「BUZZ」とはウェブ空間の中で疾走する口コミのことを総称するものであり、SNSを使った新しい広告と言える。かつて「広告」というと、駅前の街頭にある巨大看板や街中で配られるチラシなどが主役であったが、Googleの登場により、インターネット上で広告を行うように変化し、さらにSNSの登場によりそれを使用した広告も誕生し、急成長を遂げている。本書は「BUZZ」がもたらす広告の変化について追っている。

第1章「究極の「中抜き」メディア」
まずはTwitterやUstreamなどのメディアによる「ダダ漏れ」メディアについてである。
Twitterは庶民のみならず、評論家や経営者、さらには政界人までもがTwitterでつぶやくようになった。
Ustreamは様々なイベントの生放送を「ダダ漏れ」することができるようになった。本章では政治的なイベントを取り上げているが、ほかにも様々なイベントのダダ漏れも行っているので既存のTV以上に選択できる幅が生じ、既存メディアなどの「中抜け」的な存在とも言える。

第2章「ビジネスチャンスを探る先駆者たち」
そのSNSも企業は無視できない。とりわけ広告媒体としてのSNSを使用することにより、新たな顧客を獲得するという概念もある。本章では企業のTwitter利用の明と暗について紹介している。

第3章「SNSの巨人・グリーはなぜのし上がれたのか」
つい3・4年前まではmixiに後塵を拝している存在であったが、それが2年前になってから攻勢を一気に強め、mixiに追いつき・追い越す勢いと化していった。携帯電話やスマートフォン向けゲームを続々と展開することによりのし上がってきた。そのグリーの経営や開発などの「仕事の源流」がここに詰まっている、と言える章である。

第4章「勃興するBUZZメディア」
BUZZメディアが勃興したことによって、それを地域活性化の道具として扱うところも出てきた。本章では九州にある有田焼の老舗を中心にバーチャルからリアルにシフトしていくような広告展開について取り上げている。BUZZメディアは広告のみならずマーケティングにも変化を生じだしたと言える章である。

第5章「BUZZをつかまえた広告主」
老舗企業ばかりではない、リーディングカンパニーも世界に向けてBUZZ戦略を立てつつ世界に影響を及ぼす企業に成長を変化させてゆく。本章ではUNIQLOを展開しているファーストリテイリングの広告戦略を紹介している。

第6章「抗うオールドメディア」
BUZZ革命の波にさらされ始めた既存メディアも黙ってはいない。しかしその既存メディアもソーシャルネットワークの戦略には後れをとっているのは否めないが、それでも朝日新聞やNHK、FM TOKYOなどではTwitterでの戦略を展開していっている。本章ではそのことについて取り上げられている。

既存メディアを揺るがす「BUZZ」、時代は自らの思ったよりも遙かに速いスピードで変化をしている。あたかも大きなうねりを伴った波のように。その波をとらえることができるのかどうか、企業の生き残りのカギとして迫られた課題である。