携帯電話やスマートフォンにはGPS機能が備わっており、多少の時間はかかるものの現在いる位置を知ることができる格好のツールである。去年の3月にスマートフォンに変えた私であるが、GPS機能によって旅行や散歩などで大いに役立っている。
そのGPSを利用した位置機能を利用したゲームとして「位置ゲー」がブームとなり、新しい携帯ゲームマーケットを席巻しているのだという。普段あまりゲームをやらない私であるが、「位置ゲー」については少しだけ興味を持っている。本書はその席巻している「位置ゲー」のメカニズムについて分析を行っている。
第1章「「位置ゲー」の誕生」
「位置ゲー」が誕生したのは今から12年前に「クリックトリップ」や「誰でもスパイ気分」といいうゲームであった。そのときから「GPS」機能があったのだが、当時はGPSをはじめとした性能は悪く、大きく発展することはなかった。しかし携帯電話も年々進化を遂げるがごとくGPS機能や「位置ゲー」の質も上がっていき、2003年頃から位置ゲーは発展してきた。
第2章「「コロプラ」が生み出した位置ゲーの価値」
この「位置ゲー」が観光産業に影響を与えている。その「位置ゲー」の名は「コロニーな生活☆PLUS」、略して「コロプラ」と呼ばれるアプリである。
元々は技術的な趣味によって作られた産物であるが、それを使うユーザが発展し、さらに全国各地の名産品を販売する店舗と提携することにより観光産業に影響を与えているという。
第3章「広がる位置ゲーの熱狂」
熱狂的なユーザがいるのは「コロプラ」だけではない。「ケータイ国盗り合戦」もその一つとして挙げられている。「国盗り」というと約30年ほど前に桂三枝司会の「国盗りゲーム」もあれば、かつてテレビ東京系列で「国盗り物語」が10時間SPで放送されたこともある。
それはさておき、携帯電話のGPS機能を使用することでその地域を制覇する、それを全国を巡って位置登録を繰り返して全国制覇を進めるというゲームであるが、それが30・40代サラリーマンを中心にブームを起こしている。またほかにも城下町育成ゲームの「しろつく」についても本章にて紹介している。
第4章「スマートフォンが生んだ「ジオメディア」」
携帯電話の位置情報によるゲーム、またはモバイル・インターネットが発達したのは日本くらいであり、海外ではなかなか進まなかった。しかしiPhoneをはじめとしたスマートフォンが誕生したことにより、位置登録機能やGPS機能が世界的にも役立ち始めた。しかし第3章まで述べてきた「位置ゲー」とは違い、現在地周辺の情報を共有できるサービスが中心となっている。
第5章「ソーシャルメディアに広がる位置情報」
位置情報とソーシャルメディアは現在、密接な関係といっても過言ではない。mixiでは「チェックイン機能」、Facebookでも「スポット機能」が友人などに共有をすることコミュニケーションを図るツールとして使われる。
第6章「「ケータイ文化圏」がもたらしているもの」
携帯電話によってもたらされたものが、スマートフォン人気により「ガラケー」という蔑称で批判の対象となっている。しかし「位置ゲー」そのものは携帯電話から誕生し、コンテンツも日本独自の技術によって広がりを見せた事実がある。しかし海外の技術を賞賛し、独自に進化を遂げてきた日本の技術を批判するのは、
第7章「東日本大震災と位置情報コンテンツ」
ソーシャルネットワークをはじめ、携帯電話やスマートフォンが活躍したのはこの東日本大震災の大きな特徴として表れている。携帯電話などであればドコモの「災害用伝言板」があるだけではなく、SNSでもmixiではログイン情報によって無事かどうか確認できる機能もリリースされた。
「位置ゲー」は携帯電話やスマートフォンにおいてその端末でしかできない機能を生かし、熱狂的なブームも巻き起こした。ゲームばかりではなく、地域情報も得ることができ、さらに災害時の安否情報にも役立っている。位置ゲーにもたらされた「地域活性化」もあり、それが地方経済に大きな影響をもたらされるのはこれまでもあれば、これからも起こる。本書はそれを如実に表している。
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