カジノの文化誌

「カジノ」というと、現実ではラスベガスやマカオのカジノを連想するだろう。カジノに縁がなくてもあるロールプレイングゲームでカジノを知った人もいる。

本書はめくるめく「カジノ」の世界と世界中にあるカジノ、そして日本の「カジノ構想」について取り上げている。

第一章「カジノの基礎知識」
まずは「カジノ」そのものについてである。カジノで有名な所では最初にも書いたとおりラスベガスなどが存在する一方でヨーロッパもカジノが存在するという。さらにいうと元々カジノの原型ができたのは16世紀にヨーロッパでできたという。そのときは階級社会であり、貴族階級のものであるため「お高い」印象が強かった。
また、本章では「ルーレット」や「バカラ」などカジノゲームの基礎についても取り上げている。

第二章「カジノを巡る神話とカジノの運営」
「人の往く 裏に道あり 花の山」
これは日本における相場の格言である。本章では紹介されていないのだが、カジノや相場、博打にまつわる金言や神話、またカジノの運営者となった場合に心がけることについて紹介している。

第三章「世界のカジノ市場―欧米編」
本章と次章にかけて世界のカジノについて紹介している。本章では欧米のカジノについて取り上げているが、日本人が連想する「カジノ」とは主にラスベガスであるが、欧米に枠を広げてみるとカジノがない国の方が珍しいというくらい、欧米の国々には必ずといってもいいほどカジノが存在するという。

第四章「世界のカジノ市場―アジア編」
カジノ市場規模が世界一であるアメリカに次いで大きいのがアジアである。それを際だたせているのがマカオである。中国大陸の南岸に位置しており、目面積は東京の千代田区と新宿区を合わせた程度でありながら世界中から観光やカジノ目的で訪れる人が後を絶たない。
ほかにもアジアのカジノとしてシンガポールや韓国についても取り上げている。また本章では取り上げていないがフィリピンもゼブ島にカジノが存在しており、2005年の「笑点」という番組にて取り上げられた。

第五章「日本のギャンブル市場とカジノ導入への道」
では日本ではどうか。日本では「刑法」の「賭博罪」により禁止されており、もし行おうとすれば懲役を含めた罰則が課せられる。
しかし、その「賭博罪」として適用が除外されているのが、競馬・競輪・オートレースなどがある。ほかにもパチンコや宝くじなどカジノではなくとも「合法な賭事」は存在している。
日本でも「カジノ構想」があり、それに向けての議論も進んでいるのだが、未だに足踏みをしている状態にある。むしろカジノよりも政局、あるいは昨今では消費税などの議論が活発化しており、カジノの議論は埋もれている状態にあるといっても過言ではない。

日本に「カジノ」は必要なのか、というと私は必要であると考えるが、現実的に立地や費用に関する所で厳しいところがある。ましてや日本人そのものの性格や価値観からそれが構築されることも難しい。しかし、ラスベガスのようなスタイルではなくても日本独特の賭事をアミューズメント化した独自のカジノがある方が、観光としても役立つのではないか、と思う。

私の考えはここまでにしておいて、本書は「カジノ構想」の議論を始める前にしるべき「カジノ」にまつわる知識を得る為の一冊と言える。