推理小説は幅広い世代から読まれている名作から、ニッチの作品までゴマンとある。以前ブログにて書いたのだが、私自身、中学の頃は推理小説にはまっており、とりわけ「刑事コロンボ」のファンであった。推理小説にはまった大きな理由には「少年サンデー」で連載中の「名探偵コナン」にある。連載が始まったのは今から18年も前、ちょうど小学2年生の頃である。主人公である江戸川コナンは、「明智小五郎シリーズ」の作者である江戸川乱歩と「シャーロック・ホームズシリーズ」のコナン・ドイルの両方をとっている。
それはさておき、本書は架空の人物とされていたシャーロック・ホームズについて、これまで邦訳されたことのなかった文献を元にシャーロック・ホームズのことについて考察を行っている。
第一章「ホームズは実在の人物だった?」
いきなり我が目を疑うようなタイトルである。架空の人物として有名になったのにも関わらず、実在しているというのは事実か奇天烈な物なのかと疑いさえする。
その証拠となったのが「S・C・ロバーツ」が著した「ホームズとワトソン」である。原作は1953年に上梓されたのだが、邦訳されたのは本書が初めてである。それほど魅力がなかったのか、片隅にあって見つからなかったのか不明である。
第二章「意外な愛読者たち」
「シャーロック・ホームズ」シリーズは世界を代表する推理小説として幅広く愛されてきたのだが、その中でも批評家や雑誌編集者、あるいは文学者、詩人などの愛読者もいた。本書はその愛読者について紹介している。
第三章「ホームズ、漱石、嘉納治五郎」
シャーロック・ホームズと日本人の関係について綴っている。本章のタイトルの最後にある「嘉納治五郎」は講道館柔道の創始者で「柔道の父」と呼ばれるほどの存在であり、本章でも柔道、もしくは柔術に関する記述も登場している。
第四章「皇太子、チャーチル、ホームズ」
シャーロック・ホームズが登場したのは19世紀後半のことである。そう考えると本章に出てくるチャーチルは誰なのか、と気になってしまう。読んでみると本章に出てくるチャーチルは首相を経験したウィンストン・チャーチルの母親である「ジェニー・チャーチル」のことを言っている。
ホームズの作品は昨今でも世界中でもっとも愛されている推理小説の一つである。本書はそのホームズの世界をさらに広げるためのうってつけの一冊と言える。
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