何度でも君に温かいココアを

季節は春になりつつあり、寒さも和らいでいくが、ついこの間、真冬に逆戻り。東京では雪が積もるほどだった。まだまだ寒い今日この頃は温かい飲み物がよく似合う。

ちょうどこの書評をしていた時、奇遇にもそのときに飲んでいたのが温かいココア。チョコレートのような甘さでありながらも、体の芯から温まる。チョコレートは脳に良いと言われているが、ココアもその一つといえるのかもしれない。ココアを飲みながらの書評をすると捗るからである。

私事の話が長くなってしまった。本書の話に戻す。本書はある少女が叔父と一緒に、母親を捜す物語である。その少女は小学生であるが、少女と母親の暖かい思い出、それはまるで淹れたばかりのホットココアの如く暖かく、かつ胸が熱くなる。

「家族」、そして「絆」という言葉がひしひしと伝わる。あたかも「日常」のような形のようにみえて日常ではない。そのような錯覚に陥る一冊であった。