ひきこもりと大学生―和歌山大学ひきこもり回復支援プログラムの実践

「ひきこもり」と呼ばれた現象は1970年代から叫ばれはじめ、1990年頃には社会問題にまで発展した。そのひきこもりを解消すべく、行政・民間問わず様々なプログラムがあるが、本書もその一つであり、和歌山大学が1991年から引きこもりにまつわる研究を行い、2002年に開発した引きこもり回復支援プログラムについてまとめている。

第一章「ひきこもる若者」
なぜ若者は「ひきこもる」のか。
その根本原因は第五章にて明らかにするが、本章では著者自身の不登校体験や思春期と「ひきこもり」について述べている。

第二章「苦悩するひきこもり」
「ひきこもり」は私たちのような世代にある傾向だが、それに限らず精神に関する病は「うつ」など形を変えながらも、幅広い世代にかかるのだという。

第三章「優等生のひきこもり」
1980年代にはメディアで大々的に取り上げることは90年代ほどではないものの多いという。
80年代の「ひきこもり」の傾向として、優等生であればあるほどひきこもりになったのだという。

第四章「ひきこもりと精神症状」
社会問題として取り上げられ始めた90年代以降の「ひきこもり」は、「人格障害」や「発達障害」、「アスペルガー症候群」など様々な精神疾患により、ひきこもる傾向もでてきた。

第五章「ひきこもりの原因」
本章では80年代から現在までひきこもりの人を調査し続け、そこから得た傾向について取り上げている。約28年の長期にわたる調査から見えてきた傾向を、心的・社会的など様々な要因に分けて考察を行っている。

第六章「和歌山大学ひきこもり回復支援プログラム」
その調査をもとに導入から社会参加までのプロセスを構築し、実践を行った。本章では28年にも及ぶ調査をもとに「ひきこもり」の回復支援を行うプログラムを紹介している。(誕生したのは2002年なので、誕生した当初は20年間の結果をもとにしている)

第七章「インターネットとひきこもり」
最近ではインターネット隆盛により、ネット依存症やってくるストレス症候群等によるひきこもりが増えている。本章ではその予防方法や、現況について考察を行っている。

第八章「なぜ、日本の若者はひきこもるのか」
日本の若者はひきこもりが多いと言われている。その現状として、昨今の社会状況元米に警鐘能力低下していることそして優等生と期待されること等原因を上げている。

最初にも書いたのだがひきこもりは現在社会問題とかしているが、その解決に向けてのプログラムは沢山あるものの、根本的な解決の糸口は見えていない。本書で提唱しているプログラムもひきこもり対策のための一つの手段として挙げられているだけである。ひきこもりは根本的解決すること困難であるということは、日本人の若者をはじめ日本人そのものの性格の変化が表れているのかもしれない。