「ルームシェア」
あまり聞きなれないがそういったことは日本でも行われている。いわゆる「共同部屋」のことであるが、アパートやマンションなどでそういったことがあることは自分自身もその体験をしていないからあまり理解ができない。
私事はさておき、本書は彼氏と分かれた女性とそれとは赤の他人の男性とのルームシェアの中で生まれたラブストーリーである。2人は女性の彼氏と分かれる遙か前からずっとルームシェアをしていたが、2人とも「ルームメイト」だけの関係であり、恋愛関係に発展することは決してなかった。
・・・そう彼氏との別れるまでは。
とはいえ、突然恋に落ちる訳ではない。日常の如く毎日のように会い、ともに食事をとる機会も多い。
しかしルームシェアを続けていくうちに男性の優しさに振れ、変化を起こし始める。ルームシェア同士なのに友達以上の関係になり、そしてだんだん恋人のような雰囲気にもなっていく姿はありきたりのストーリーとは異なりながらも、日常を崩すことのなく描かれている。「ごく自然」と言われると首を傾げるものの、それでも育まれた恋愛。やがてその日常は音を立てて崩れ去った。
ドラマティックな展開がないように見えて、突然起こった結末。最後まで暖まりながらも引きつけられる、そういった印象を持った一冊であった。
コメント