日本人の価値観とはいったいどのようなものか。
おそらく日本人ほどこの60年間で劇的に変わった民族はいないと言っても過言ではない。またバブルが崩壊したときも戦後間もないころから比べて振り幅は少ないものの変化は生じている。
では諸外国に比べて日本人の価値観はどのようなものなのか、本書では様々な「世界ランキング」をもとに考察を行っている。
第1章「国や政府に関する価値観」
愛国心や自国政府・政治・メディアに関する関心や犯罪どの司法にまつわる国際比較を行っている。
自国に対する誇りが少なく、政治への信頼もない、ましてや自国のために戦う関心が世界でもっとも薄いという。
自国の為に戦う人の割合がもっとも少ない理由は、おそらく「日本国憲法」の呪縛もあるのかもしれない。
第2章「人生に関する価値観」
人付き合いや人間関係、性格、ギャンブル、リスク回避など人それぞれの性格に関する統計について考察を行っている。そもそも日本人は「リスクを回避したがる」「内向的」な印象を持つことが多くかつ自由に対しての感覚がないという。
また祖先に関する関心が強いことに関しては宗教的な関心よりも、日本人独自に染み着いている「仏教」や「神道」によるものが強い。
第3章「家庭や子供に関する価値観」
結婚や出産といったプライベート、さらに休日や余暇についての統計を紹介している。
結婚・離婚・同性婚にまつわる認識差だけではなく、学校の授業やスポーツ以外の趣味(ゲームなど)なども取り上げられており、なかなか興味深い。
第4章「経済活動や働き方に関する価値観」
簡単にいえば仕事にまつわること、いわゆる「仕事」にまつわる様々なことに関しての統計を取り上げている。
高度経済成長からバブル崩壊、そして現在にかけて日本人の労働観や仕事観に変化がある。その「変化」については「仕事と日本人」にて記載しているため、ここでは割愛するが、他国との比較とはいえ、ここまで変化したのかと驚くばかりである。
第5章「科学や自然に関する価値観」
おそらく日本は世界一の「科学技術立国」と呼ばれるほど科学技術は発展している。その証拠として毎年ではない者のほぼ毎年のようにノーベル賞を輩出している。私たちは「科学技術の発展」と「科学そのもの」にどのような関心を持っているのか、本章ではそれに関する統計を紹介している。
本書を読んでいく内に新潮社新書にある「日本は世界で第何位?」を思い出す。これもまたランキングでもあり、統計もとっている者であるが、あくまで解釈そのものを論じている訳ではなく、統計そのものの解釈は私たちに委ねられている。本書は「国際日本データランキング(2012年4月19日を持って閉鎖)」をもとに事実を紹介しているだけであるため、それを解釈し、主張するのはあなた次第、と言える一冊である。
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