団塊モンスター―“妄走老人”たちの事件簿

価値観や常識は時代とともに移ろいで行く。しかしその時代に取り残され、昔の価値観や常識を振り回し、周りを辟易する人がいるのだという。本書のタイトルは「団塊世代」におけるそのような人たちにスポットライトを当てているが、すべての「団塊世代」ひとがそうではなく、かつ「団塊世代」ではなくても、昔の価値観を振り回す人もいることを前置きとして加えておく必要がある。

第一部「妄走老人」
「団塊世代」の多くは企業が定年退職となり、第二の人生を歩む。ある人は隠居をしながら仲間との趣味に勤しむ人、違う会社でまた働く人とそれぞれである。しかし今までの気質は自ら気づくまでなかなか抜けないものであり、老いてゆくとそれが顕著になるケースになることも少なくない。
本章ではそういった人々の発言やクレームについて取り上げている。

第二部「カン違い定年者」
第一部で「今までの気質が抜けず、それが顕著になる」ことを書いたが、それは古巣意識もまた然りである。昔の肩書きや組織、さらには懇親会や株主総会でそういったものを振りかざす人もおり、本章ではそれを取り上げている。

第三部「やれやれ管理職」
管理職とはいっても人それぞれであるが、悲しきかな部下も呆然するほどの管理職も存在する。著者は異なるが「人は上司になるとバカになる」という本にもいくつか記されているが、本章でも部下が迷惑を被る管理職の様々について紹介している。

第四部「使えんベテラン」
管理職に限らず「ベテラン」と呼ばれる人も第三部で書いたような人が存在する。管理職とはまた違った立場であるため、別方向で厄介な部分があるのだという。

第五部「昭和なヒト」
「昭和」という時代と感覚そのものを否定する人がいる。しかし昭和にも昭和の良さがあり、現在にも同様の良さもある。その両方をみることができるのであれば言うことはないのだが、今と昔の感覚、そのどちらかを迎合し、もう一方を排除するような人も少なくない。
本章ではそういった考えの人々について取り上げている。

第六部「お子様オジン」
精神年齢は進化をするのか退化をするのか、あるいはその両方なのかわからない。
しかし年齢的に年をとっていくと精神年齢はあがるが、その逆もありうるという話なのかもしれない。本章ではその後者といえうべきか、そのような人々のトラブルについてを取り上げている。

本書は「取扱説明書」というべきなのか、それとも「生体手帳」というべきなのだろうかはわからない。しかし団塊世代の中にはこういったひとがいる、その人々を投影したと言える。