ゾウを倒すアリ

経済界のみならず、政治的な世界、もっと大きくは「国家」の世界でも「ゾウ」と呼ばれる存在と「アリ」と呼ばれる存在がある。その「アリ」が「ゾウ」を倒す事象もごくまれにであるが存在するのも事実である。本書はその事象がなぜおこるのか、そしてその事業を興すビジネスモデルにはなにがあるのかについて紹介している。

第1章「「人間力を磨くビジネスモデル」で勝つアリ」
会社を運営するのも、そのもとで働くのも「人」である。人は機械ではないのだから、相手の思ったとおりに動くこともあれば、そうではないときもある。ミスや失敗も起こり得る。
その「人」であることを生かすことの重要性はいろいろな所で言われているものの、それを忠実に実践している会社は少ない。
本章ではその「人」を大事にする「人間力」を生かしたビジネスモデルを3つ紹介している。

第2章「「地域に密着するビジネスモデル」で勝つアリ」
最近では「地域活性化」という言葉が乱舞している。その地域でとれる材料を使ったもの、あるいは「地域ブランド」、あるいはドラマやアニメの舞台であることを生かしたビジネス展開も昨今では行われている。
その一方で地方の商店街では「シャッター街」と呼ばれる場所も多くなり、故郷である北海道でもそのようなシャッター街に出くわすようなこともある。
飲食店や食料品、あるいは日用品や電化製品など地域に密着した店が減少しており、それらが全国展開している大型店に取って代わられている現状がある。
本章では地域にしかできないこと、あるいは地域だからでこそできることをフルに生かしたビジネスモデルを紹介している。地域に根ざしながらも「イノベーション」をしていくスタイル、あるいは「産学連携」を行うなど様々である。

第3章「「一気にグローバルに飛ぶビジネスモデル」で勝つアリ」
中小企業が世界に進出することは珍しくない。もっとも宇宙ロケットの部品が日本の町工場で作られたものもある。日本の技術力もそうだが、小回りの利く所も大企業にはない中小企業の利点として表れている。
本章ではグローバルで活躍した例を紹介しているが、小回りの利く技術だけではなく、むしろ「グローバル」を利用して変えていくスタイルも取り上げられている。

第4章「「競争関係を劇的に変えるビジネスモデル」で勝つアリ」
「ゾウ」と呼ばれる大手と真っ向勝負ではまずかなわない。しかし競争関係、相手のベクトルを少しずらすと真っ向勝負ではかなわないものが、勝ち筋を見いだすことがある。本章では大手では考えつかないようなアイデア、コンセプトの創出を行い、大手に対して勝負をしている中小企業も存在する。それは小回りの利く、地域に根ざす、独自の技術やアイデアをつくる中小企業を本章では取り上げている。

第5章「「考えるアリ」だけが生き残る ~「四次元の経済学」の時代」
生き残るのはいつも「強者」ではない。常に「変化」を続けていった者が生き残る。
ビジネスに関しても同じであるのだが、ビジネスというと「競争」が当たり前のように起こるイメージがある。しかし現在ではその「競争」という概念を捨て「共生」をはかっていく企業やビジネスモデルも少なくない。既存の考えから一線を画した「四次元」、そしてそれを生み出す「考えるアリ」を作り出すことこそ、これからのビジネスに求められることと言える。

元々「アリがゾウを倒す」という言葉はホリエモンこと堀江貴文氏が生み出した言葉である。大企業に対抗してその言葉を言ったのかもしれないが、現にそのような事象が起こったのは本書に取り上げられたもののほかにも数例しかない。しかし「中小企業こそ日本の宝」と言われるほど、アッと驚くようなビジネスモデルを構築している所も数多くある。それを生かすか殺すか、ミクロ・マクロ両方の観点から私たちは試されていると言っても過言ではない。

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