四国八十八カ所の寺院を巡る「お遍路」こと「四国遍路」、元々平安時代から始まったのだが、平成に入って「一大ブーム」となった。前首相である菅直人も2001年と、首相を退いた2011年の2回お遍路を行った。
そのお遍路にはどのような思想があり、どのような魅力が存在するのか。本書は「四国遍路」にまつわる思想と文化、そして魅力を追っている。
<四国遍路の思想>
最初に四国遍路は平安時代に誕生したと書いたが、具体的に誕生した時期は諸説ある。空海が初めて歩いた説もあれば、真如親王(嵯峨天皇の子)が始めたという説も存在する。しかし諸説はありながらも文献が少ないため、あくまで研究のプロセスででた推測しかでていない為、「謎」という他ない。
起源の後は、四国遍路の特長であるが、自分自身が抱いていたイメージは特定のルートを歩きながら行うものだったが、そうではなく、巡る寺院は決まっておらず、遍路の方法も歩きばかりではない。バスやマイカーを使って「お遍路」をする人もいる。「楽しているのでは」という疑念を持つが、コストや期間を考えるとかなり高くつくため、バスやマイカーを使っても決して楽ではない。そういう意味ではどのような方法であれ、八十八カ所を回った後の達成感はひとしおである。
<四国遍路の人びと>
平成に入って「お遍路ブーム」が起こったきっかけ、その一つとして「自分探し」、もう一つ「御利益」、そして不治の病の「病人遍路」など、様々な理由から「お遍路」をするのだという。
<四国遍路の接待文化>
「接待文化」もお遍路としては独特で行く先々で「お布施」としてお茶や食事を振る舞ってくれる。地元の人びとが存在する。
<四国遍路の現代的風景>
「お遍路」は日本中で認知されてきたのだがそれがもっと認知されたのは、他でもないメディアで取り上げたからである。1998~2000年には「四国八十八カ所 こころの旅(NHK)」、連続テレビ小説の「ウェルかめ(NHK、2009年9月~2010年3月)」がある。また癒しやパワーを得るスポットである「ヒーリングスポット」や「パワースポット」としてのお遍路も注目の的となっている。
四国で生まれ約1300年もの歴史を持つ「四国遍路」、近年それを行う人も増えてきているが、その起源とブームの背景を知ることのできる格好の一冊といえる。
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