リッツ・カールトンと日本人の流儀

ポプラ社様より献本御礼。
1990年にリッツ・カールトンに入社し、大阪・東京など日本進出に尽力した高野氏、ホテルマンとして、リッツ・カールトンの一員として、そして日本人として大切な要素の一つである「ホスピタリティ」。その「ホスピタリティ」を仕事で、リーダーとして、地域の中で、日本人としての役割は変わってくる。本書はその「ホスピタリティ」を原理そのもの、リッツ・カールトンの経験、そして日本人そのものの考え方とを併せ持ち、紹介している。

第一章「リッツ・カールトンに伝わる「仕事の流儀」」
本章の前半にはリッツ・カールトンにいた時代のエピソードについてつづっているが、そのエピソードが「リッツ・カールトン」ならでは、もしくは本当の意味で「ホスピタリティ」を求める群像を映し出している。生半可な気持ちでは決してなすことができないようなものばかりである。
後半はそもそも「ホスピタリティ」とは何か、そして「リッツ・カールトン」で生まれた「クレド」の重要性について綴っている。

第二章「人を動かす「トップの流儀」」
著者は「リッツ・カールトン」を勤める前はホテルの専門学校を出て、国内外様々なホテルに在籍した経験を持つ。その中で「トップ」と呼ばれる経営者から学んだ、経営者として、トップ、あるいはリーダーとしての「流儀」、それはコミュニケーションや心遣い、そして「器」の大きさなどを挙げている。

第三章「信頼を育てる「地域で生きる流儀」」
「リッツ・カールトン」が日本に進出したのは1997年のことである。日本で最初に「リッツ・カールトン」は大阪であった。そのなかで「リッツ・カールトン」の流儀、そして日本独特の「おもてなし」、そして大阪独特の文化とをどのようにして融合させ、地域で生きるのかを「ホスピタリティ」の観点から取り上げている。

第四章「グローバル時代に見直す「日本人の流儀」」
日本人は世界でもっとも礼儀正しい民族であったが、それがあたかも過去のもののように扱われることも少なくない。
著者もホテルマンの時代、日本人の礼儀の盛衰を見てきた。同時に日本人そのものの底力を垣間見ることができた。

「ホスピタリティ」という言葉は知らなくても「おもてなし」という言葉を知っている人が多い。もしかしたら両方の言葉があたかも同じ意味のような気がしてならない。リーダーにしても、地域にしても、日本人としても忘れてはならない「ホスピタリティ」がここに詰まっている、と言うべき一冊である。