銀河に口笛

自分自身が振れたことのない雰囲気を醸している。自分自身も昭和の生まれではあるが、物心がついた頃は平成に入っていたため、その「昭和の雰囲気」がいったい何だったのだろうかわからない。今の30代~40代が子供の時、何をして遊んでいたのか、漫画や本から何をしていたのかは観ることができるものの、どのような雰囲気で、どのようなテンションで遊んでいたのかは想像できない。

その触れたことのない雰囲気の中に突然現れた謎の少女が物語を描く。

30~40代が少年時代のころというと、だいたい70~80年代であり、本書にはその時流行したモノ、アニメ、漫画、そして事件などが散りばめられており、その時代に生きた人にとっては懐かしさが、そして私たちのように知らない世代にとっては「そのようなことがあったのか」という新発見がある。

もしも自分がその時代にいたとしたらどうなるのか、ノスタルジックな雰囲気にいながらもミステリアスな感覚に陥ってしまう。本書はそのような一冊であった。