「フューチャーセンター」という言葉はあまり聞き慣れない。簡単にいえば「対話」を通じて「未来」を描く、あるいは変えていくきっかけを作る「場」を表している。詳しい話は第1章で書くこととするが、この「フューチャーセンター」はこれからの日本にとって必要な「場」となると著者も「フューチャーセンター」の創設者も主張している。本書はめくるめく「フューチャーセンター」とは何か、そしてその「場」から何を生み出し、生かすのかを表している。
第1章「フューチャーセンターとは何か」
「フューチャーセンター」そのものが誕生したのは1990年代に北欧の国々で「知識経営(ナレッジ・マネジメント)」の一つとして使われたことからであった。それが日本にわたってきたのは昨年、非営利団体やメーカー企業など、業種に関わらず参加したかたちで「フューチャーセンター」のプログラムが始まったという。
「フューチャーセンター」は企業・階級問わずに対話をする、その多様な業種や団体でしかわからない「知識」を持ちあってテーマをもとに「対話」などを駆使してアイデアを生み出す、企業や階級を越えた「つながり」を創ることで、思いも寄らぬ「変革」を生み出すことができる。
第2章「フューチャーセンターの思想」
「フューチャーセンター」の中では様々な役割を担っている人がいる。たとえば「リーダー」もいれば「ファシリテーター」などがある。
さらにいうと「フューチャーセンター」にてセッションを成功させる為に、「関係性を大切にする」、「多様な知識を一つの場に集める」「プロトタイプをつくる」などの原則を守ることが大切である。
第3章「フューチャーセンター・セッションを開く」
複雑な問題を解決するためのアクションやアイデアを生み出すために、いくつかのセッションを開く必要がある。そのセッションを開くためのプロセス、さらには参加者をフォローするためのファシリテーターの役割を極意についてを紹介している。
第4章「開かれた専用空間をつくる」
「フューチャーセンター」をつくるといっても、専用の施設をつくる訳ではない。会社にある会議室の空間を「専用空間」としてつくることができればそれだけで良い。「会議室」という閉じられた「場」を、誰でも参加し、積極的に対話できるような「場」にして、共通の目的意識を持つことによってつくることができる。
第5章「フューチャーセンターによる変革」
「フューチャーセンター」によってつくられたアイデアは絵に描いた餅にせず、アクションを引き出すことによって「変革」を形にする。「フューチャーセンター」はそのアクションを「協調的」に起こす、そしてそれを企業、さらに社会にまで広げることで、「フューチャーセンター」の役割は大きなものになってゆく。
最近になってできたばかりであるが、日本の企業や団体でもすでに「フューチャーセンター」のコミュニティは存在する。変革を嫌う日本人にどれだけ広げられるのかは未知数であるが、これから注目される空間として取り上げられることだろう。
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