僕たちの前途

「前途」という言葉の意味は簡単に言うと「行き先」や「道のり」を表す。私たち若者世代の「前途」はこれからくるであろう「未来」を表している。日本の労働の在り方として「若手起業家」のこれまでとこれからを描きながら、日本のこれからと若者たちを写し出している。

第一章「僕たちのゼント」
「起業」というとベンチャーを興し、一儲けするようなイメージを持ってしまう。たとえば「ホリエモン」もその一例と言える。
しかし昨今の「起業」はその理由だけではないようだ。
「家族以上の家族」を求めるために少数精鋭だけで行う「起業」もまたそのスタイルの一つである。

第二章「東京ガールズコレクションの正体」
「TGC」と呼ばれる一大イベントである「東京ガールズコレクション」。その空間はあたかも「魔法」にかかったようなものとなる。決してあの「夢と魔法の国」とまではいかなくとも、女子たちのオーラ、そしてキレイになりたいという「パワースポット」として存在している。そのプロデューサーや裏方は女子たちにどのような「魔法」を提供するのかを追っている。

第三章「俳優はなぜ映画を撮ったのか」
俳優・小橋賢児
彼はデビューから人気俳優としてもてはやされた。しかしある事情から芸能界を離れ、「過去の人」となった。そして今年9月に公開された、「DON’T STOP!」の映画監督となった。
なぜ彼は「演じる」から「撮る」へシフトしていったのか。本章では彼の取材を通じて、その心境と経緯を表している。

第四章「つながる起業家たち」
起業家は「孤独」という印象を持たれてしまうが、これは間違いである。むしろSNSが隆盛している現在であればなおさらである。その起業家はつながりを求めるもの、お金儲けだけに勤しむものもいれば、第一章で書いたような自然につながる起業家もいる。

第五章「起業家って言うな!」
そもそも「起業家」という言葉はいつ、どこから生まれたのか。その定義自体も錯綜してきた。「起業家」という言葉が誕生したのは1983年、経済学者のジョセフ・シュンペーターが始まりである。そこからドラッガーも同じように引用してから定着していったのだという。
その「起業家」という言葉は「ベンチャー」という言葉とともに2000年代始めに台頭としてきた。やがてそれが廃れてきて、「起業家」という言葉に嫌気が指してきた。そしてそこからでてきた言葉が昨今乱舞している「フリーランス」や「フリーエージェント」といったものである。

第六章「日本人はこうやって働いてきた」
「フリーランス」や「フリーエージェント」という言葉は響きがよいのだが、とどのつまり「自営業」に他ならない。ましてや就職事情もいきなり起業をするのではなく、むしろ公務員や大企業への就職といった潮流も変わっていない。戦後間もない頃から続いていた就職事情は多少の変化はあれど大きく変わったわけではない。

第七章「あきらめきれない若者たち」
すでに「一億総中流」という時代が崩壊し、「不安定」「貧困」という言葉が叫ばれ始めた時代。いわば「絶望」という言葉さえ囁かれはじめているのだが、その時代の中でも私たち若者は働き方の構図を変えながらも働き続ける。しかしそこにも「絶望」はつきものである、というより「つきまとっている」という言葉が正しいか。それでも諦めないわたしたち。そのイタチごっこは今日も続いている。

第八章「僕たちの前途」
今の時代は「起業しろ」とも言えず「起業するな」とも言えない。誰しも起業をする夢を持ち、それを実行する。夢が叶う者もいれば、夢敗れる人もいる(後者が圧倒的多数であるが)。社会そのものが閉塞感を漂わせ、もはや八方ふさがりと呼ばれる時代となった。それでも私たちは「希望」を持ちながら、未来への前途を辿る。そこには何が起こるかわからない。「わからない」未来を見つけにいくからでこそ「希望」があるのかもしれない。

いつだって「未来」は何が起こるのかわからない。その「わからない」前途をどのように旅をするかは自分と自分の心のみぞ知る。そう、わたしたちの「前途」はわたしたちのためにあり、そこには終わりがないのだ。