「知覚」というのはいったい何なのだろうか。調べてみると、
「動物が外界からの刺激を感じ取り、意味づけすること」(wikipediaより)
とある。「五感」と呼ばれる機能から得られた情報をもとに脳を経由して「体験」として構成する孤とを指す。
その「知覚」をもってして意識した「行為」にはいったいどのような意識があるのだろうか、かつどのような哲学が存在するのだろうか。本書ではそれらについての考察を行っている。
第1章「知覚に対するエナクティヴ・アプローチ 序論」
知覚に対しての論考の中心となるのが「エナクティヴ・アプローチ」と呼ばれる手法である。「エナクティブ」とは直訳すれば「成立する(enact)」のことを指しており、行動が成立するための「知覚」とは何かを表している。行動をするための「知覚」として「経験」や「情報」があり、それを脳内でどのような処理をするか、そしてその盲点について考察を行っている。
第2章「心のなかの画像」
人は目に見えるものを通じて脳の中で画像を映し出している。しかし目を通じなくても、「思い出す」「イメージする」ことで目に映さなくても見えてゆく画像や動画もある。本章ではそのことについて表している。
第3章「内容をエナクトする」
心の中でも、目から見えるものの中でも映し出される映像や情報といった「知覚」にはどのような内容が出てくるのか、本章では考察を行っている。
第4章「エナクトされる色」
目でも心でも映し出される映像には「色」が出てくる。とりわけ「目」には「色覚」があり、「心」は「イメージ」によって色が付く。
その「色」は脳で「エナクト(成立)」するのだが、そのプロセスはいったいどのようなものがあるのか、本章では考察を行っている。
第5章「内容におけるパースペクティヴ」
「パースペクティヴ」とは日本語で「遠近法(perspective)」と呼ばれており、
「主に絵画・作図で同じ大きさでも視点から遠いものとして小さく描いたり、角度によってものをひずませて見えるように描く方法」(wikipediaより一部改変)
とある。本章では今まで考察を行った「内容」を「パースエクティヴ」の観点で考察を行っている。
第6章「経験における思考」
「知覚」の中にも「経験」というのがある。過去の経験から普段見えるものも経験によってまた違って見えるものもある。イメージもまた然りであり、その「経験」が「知覚」に対して具体的にどのような効果をもたらすのかの考察を行っている。
第7章「心のなかの脳 結論」
本章では結論として「経験」や「視覚」「イメージ」から作られる「知覚」は「脳」を媒介としてどのように認知されるのかの考察を行っている。
本書は哲学というよりも「知覚」をフォーカスとしていることから「認知科学」「脳科学」に重きを置いている。その意味で「知覚」はどのような効果があるのか、よく学ぶ「哲学」とは一線を画したものとなっている。
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