人はなぜ<上京>するのか

私が仕事の為に上京してきたのが2008年、専ら北海道にすんでいたため、仕事以外で仲間や友達と呼ばれる人は全くといってもいなかった。

私事はさておき、今でもそうであるが、昔から地方から職を求めて状況をする人は後を絶たない。それが「首都圏一曲集中化」を助長させてしまう。本書はその要因を明治維新から現代までの歴史とともに迫っている。

第1章「上京、青雲編。」
今となっては、様々な理由で上京するのだが、明治~大正時代はむしろ「学び」を得る、もしくは「文士」になるため、上京する。上京した先で「苦学生」となり、様々な労働をせざるを得ない状況に追い込まれた人も少なくなかった。

第2章「上京、失意編。」
大正時代が終わりにさしかかってきた頃、「関東大震災」が起こった。主に火災による焼死により、10万人以上が犠牲になった。この地震により、罹災し、東京から離れざるを得なかった人も少なくない。その人たちの多くは関西をはじめとした「新天地」を求めた。

第3章「上京、団塊編。」
時代は大正を過ぎて昭和へ、そして第二次世界大戦が終演を迎え、やがて「戦後」と呼ばれる時代、「団塊の世代」が生まれた時代に入る。
豊かさを求め、仕事を探しに東京に渡る人も出てきた。それがやがて「高度経済成長」の原動力となった。

第4章「上京、業界編。」
戦争が終わって10年以上経つと東京をはじめとした首都圏は急激な経済成長を遂げ、大国・アメリカに次ぐ経済大国にまで押し上げた。その中で「成り上がり」と呼ばれる歌手などのエンターテイナー、そして様々な文化やブームも誕生した。

第5章「上京、頓挫編。」
高度経済成長、そしてバブル景気が終わりを告げ、「失われた10年(ないし20年)」の時代に入った。職や学びを求め上京したが、頓挫し、路頭に迷う人も出てきた。たとえ職や学の場所があったとしても人間関係の息苦しさがかえってやる気の妨げとなり、結局「頓挫」してしまう。

「首都圏一極集中化」は今でも進む、しかしそれは明治時代からずっと続いている遺産であるのだが、形は変わりながら維持し続けている。本書はそれを映し出している。