ファミコンの驚くべき発想力 -限界を突破する技術に学べ-

家庭用ゲーム機は今となっては携帯することができ、電車の中にいてもそのゲーム機を利用してゲームをする人、あるいはスマートフォンや携帯電話、タブレット端末を使ってゲームをする人も少なくない。

その源流の一つとなったのが「ファミリーコンピュータ(以下:ファミコン)」と言われるものである。そのファミコンは1983年に生まれ、今年で30周年を迎える。発売された当時は各地で売れに売れ、玩具店が行列になるほどの熱狂ぶりだった。そのファミコンのなかで「スーパーマリオブラザーズ」や「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」などの作品も生まれ、今もなお形を変えつつも続いている。

その源流となったファミコンはどのようにして生まれたのか。当時ファミコンがなぜ魅力的なのだろうか。本書は「スペック」など、「ホワイトボックス」の観点から追っている。

第1章「ファミコンのハードウェア」
ファミコンのハードウェアを「CPU」、メモリの「RAM」などの性能にまつわる部分から、ゲームがどのようにして動くのか、記憶・処理されているのかを見ている。
さらにファミコンと最新のゲーム機やスマートフォンの比較も行っている。

第2章「ファミコンに見るプログラム技術の基本」
「プログラム技術」と言っても、実際にプログラム文を見るわけではないので、プログラミングについてよくわからない人にとってもとっつきやすく作られている。

第3章「数字を自在に操る計算のテクニック」
ファミコンが生まれた当時は、点数を計算する、ロールプレイングでは移動するなど様々な「計算」が必要になる。ゲームに限らずプログラムにおける「計算」は「0」と「1」だけ扱われる二進法で扱われる。その二進法における演算方法について説明されている。
ちなみに現在では実数を用いた計算方法が主である。

第4章「限界ギリギリに挑むワザと発想」
「スーパーマリオ」がいかにしてなめらかに動くのか、そして「ドラゴンクエスト」ではなぜ「復活の呪文」があるのか、そのカラクリを解き明かしているのが本章である。とくに後者の「復活の呪文」のカラクリはなかなか面白い。

第5章「ファミコンから現在へ」
このファミコンにおけるプログラミングは現在よく使われるそれの「原点」であるという。それ故にゲームが進化するとともに、プログラムそのものも「複雑化」の一途を辿っていった。
その反面、スマートフォンアプリなどプログラミングの知識が無くてもプログラムを作ることができ、アプリを作ることも可能になった。

最初にもファミコンの誕生から30年経つ。その中で様々なゲーム機やソフトが生まれ、廃れ、進化を続けていった。30年の節目となる年だからでこそ原点に戻り、面白いゲームとは何か、ゲームは何のために存在するのかを源流となったファミコンとともに考えるべき時にきたのではないだろうか。本書はそのきっかけとなる一冊である。