「グローバル社会」と言われて久しい。しかし「グローバル社会」とはいっても日本が「国際化」していると捉えて良いのか、それとも「グローバル」という言葉が独り歩きし、やれ英語を学べだとか、外国人と付き合えだとか主張する人もいるのだろう。そのようなことばかりで結局は日本独特の「和」を重んじる、「組織」の世界を重視してしまう。「世界」が「個」を尊重するにもかかわらず、である。
言わば「組織」と言う名の「鎖国」の状態からいかにして「開国」して行くのか、そしてそれができる人材とは何か、またどのようにしてその人材を育てていくのか。本書はそれらについてを解き明かし、若者に檄を与えている。
第一章「世界で生きる力って何だ?」
今の日本は「危機感」が無く「閉塞感」ばかりがあふれている。むしろ「諦観」と言うような表現が似合うのかもしれない。その諦観から脱出すべく、私たちの世代を中心に「ビジネススキル」向上を絶えず行っている。しかし本当の意味で「グローバル」な人材となるためには小手先のテクニックでは通用しない。むしろ世界に対して「価値」をいかにして生み出すのか、考え、行動することが大切であるという。
第二章「世界に通用する価値って何だ?」
ではその「価値」とはいかにして生み出すのだろうか、というより、そもそも「価値」とはどこから来るのだろうか。そこから知る必要がある。「価値」は生み出すものだが、それがいかにして時代や文化とマッチするかはわからない。もっと言うとそれが今の世界にあっているかどうかすら、わからない。むしろそれがわかっていれば誰でも「価値」は生み出すことができる。
まるで得体の知れにないような「価値」はどこから生み出すのか、それは「アイデア」に他ならない。そのアイデアを生み出すのは、見聞きしたり、考えたりした自分の頭の中にあるわけである。
第三章「日本企業の開国力は?」
「ディズニーランドはいつまでも未完成である。現状維持では後退するばかりである。」
これはディズニーの生みの親であるウォルト・ディズニーが、ディズニーランドが進化を続けることを掲げた言葉である。
今の日本は確実に「後者」の道を歩んでいると言っても過言ではない。その日本が「開国力」を高めるためにはマクロな部分としては「規制」よりも「開放」をすること、そしてマーケティングや開発、マネジメント、コラボレーションなど様々な「力」を身につけ、世界に通用する「価値」をつくることにある。
第四章「開国力のある人材とは?」
日本は「決められたルールを遵守する」民族である。しかしその「ルール」をつくる側に立つことが少ない。そのため、都合の良いルールを作る諸外国とは後れを取ってしまうような状況に陥りやすい。しかし「グローバル」と呼ばれる人材はその「ルール」をつくるための「仕組み」をつくり、自分自身のオリジナリティを持つ。そして日本人特有の精神をもつこともまた「グローバル」にとって必要なことであるという。
日本は「閉塞感」がある。その一方で明治維新のときも、戦後間もない時も、「火事場の馬鹿力」と言える様な強さで「開国」し、急激な成長をもって世界に知らしめた歴史がある。日本、もとい日本人にはその力を持っている。本書はその可能性を示している。
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