株式会社オトバンク 上田様より献本御礼。
日本人は大昔から「井戸水」として「地下水」を生活用水として使われていた。その地下水の需要は高度経済成長とともに増し、地下水の取りすぎにより「地盤沈下」を起こしたところもあった。
その一方で、自然豊かなところではぐくまれる地下水が、土地ごと外国人や外国企業と言った「外国資本」に相次いで買収されているという。いわゆる「水の戦争」の一端を担っている事象であるが、これについては環境問題の中でも取り上げられていない話題の一つであるが、ごくわずかしかない「水」の取り合いこそ「資源戦争」のこれからを映している気がしてならない。
本書は謎の多い「水戦争」が国民にもたらす影響について指摘するとともに、自治体単位での防衛策を提言している。
第1章「水源地を買う外国人」
北海道や群馬、神奈川や沖縄など様々なところで外国資本により買収されている。その規模やスピードはすさまじく、水資源などが脅かされる声もある。その多くは中国であり、中国本土では深刻な水不足に陥っており、それによる森林買収を世界各地で行っているのだという。
第2章「地下水を売る日本企業」
水は水道から出てくる「水道水」、その一方でスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで売られている「ミネラルウォーター(本書では「ペットボトル水」)」を買う方もいる。
その「ミネラルウォーター」は海外の水だけではなく、日本の採水地でとった水もある。
第3章「国境を越える水」
水の輸出・輸入のコストは大きい。ただ単に水を汲み上げて船などを使って運べばよいと考えられているが、その「汲み上げ」と「送水」に膨大なコストがかかることがコストが大きくなる要因である。
しかしそこまでしても外国資本は日本の採水地を買いたがるのか。それはその採水地を利用して産業を興すというのも一つの理由として挙げられている。
第4章「水を守る法律がない」
日本における水を守る法律はほとんどないといわれている。まず土地の取引であるが、取り引きできる門戸は外国資本も含め解放されている。また「森林法」や「水循環基本法」といった法案も出ているが、根本的に外国資本に水の採取を規制するものではない。では根本的に規制できる法律をつくれば良い、と考える人もいるが、「水」に対する認識は国家、地方自治体、地主など考えが大きく異なり、難航している。
第5章「動き出した自治体」
とはいえ、自治体単位で「条例」をつくり、水の採取制限を行っている自治体が存在する。その自治体もあれば、水資源の有効活用をすべく、外国資本に対し、積極的に切り売りをする自治体も存在しており、自治体単位の温度差もある。
第6章「水は田んぼで育まれる」
地下水の奪い合いもある一方で、枯渇化も進行している。その一つの要因として日本人における米食の減少が挙げられる。
第7章「その水はなぜ必要か」
外国資本に地下水が奪われているからでこそ、私たち日本人は、日本の「水」について考え直す必要がある。国や自治体としての「治水政策」だけでは通用しない。むしろ自分自身が、日本にとって「水」が必要ということを考え、そして自分自身で「水」を管理し、共生していく道を見出すことが日本における「治水対策」の大きな一歩である。
「自分の身は自分で守る」
その言葉は防災対策だけではない。今も起こる「水戦争」もまた同様なことが言える。地下水が枯渇し、外国資本に奪われている状態にあるのだが、本書で地下水の現状を知ることによって、対策はいくつでも出すことができる。行動を起こす前の最初の一歩として本書が存在する。
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