子育て主夫青春物語「東大卒」より家族が大事

著者の堀込様より献本御礼。
近頃専業主婦になりたい女性が急増している。85年の男女雇用機会均等法を境に女性のキャリア向上が進み、女性の管理職や社長が増えていった。その一方でそのキャリア向上への疲れなのか、それとも子育てをする歓びへの願望なのか、それは定かではない。

本書の話に移る。こちらは妻の転勤により兼業「主夫」となり、在宅翻訳家として、主夫として子育てまでの道程と、子育てのエピソードを綴っている。

1.「突然訪れた人生の転機―長男誕生から退職まで」
人生の転機は突然訪れた。
当時は夫婦共働きで長男が生まれたときから物語は始まる。ちょうど「育児休暇制度」を採用する制度が出てき始めた時の頃である。企業によっては採用しているところもあれば、採用していない所もあった。夫が働くところは前者だったが、妻は後者であった。しかも夫の所は、制度はあれど前例が無かった。それでも上司や人事を説得し育児休暇を使い、「主夫」生活をスタートした。「休暇」だけあって、ある程度好きなことができると思ったが、想像できないほど過酷なものだった。
育児休暇も終わりにさしかかった頃、妻の仕事にとっても、自分の仕事にとっても大きな変化が訪れた。

2.「楽しいんだけどむなしい!?―カラ元気の逆単身赴任時代」
妻の転勤、そして育児休暇の終了により、別居生活が始まった。しかしそれも長く続くことなく、連休など様々な制度を用いては妻のもとに戻るといったことが続いた。しかし、制度にも限界があり、ついに退職の道を選んだ。

3.「期限なしの兼業主夫へ―在宅翻訳家の兼業主夫的生活スタート」
退職し、フリーの在宅翻訳家との兼業主夫の生活がスタートした。この頃には妻のもとに戻り、在宅で仕事をしながら子育てをする生活であったが、不安はあった。子育ての過酷さもあるのだが、同時に後ろ支えの無い「フリー」での仕事で稼げるかどうかもあった。
それでも何とか稼げるようになりながらも、子育てにも力が入るようになった。

4.「実は昔から子育て主夫に向いていた!?―学生時代~長男誕生まで」
主夫の生活に向いていたと著者が思った理由、それは学生時代にまで遡るのだという。夢をもって東大に進学し、バイト・海外放浪を経て、大手企業への就職、「バラ色の大学生活」とは少し異なるものの、それでも「謳歌」していると言える生活だったが、その中で「主夫」を行う根幹を自然と身につけたと言える。

5.「子育ては人生観を変える」
私は子育ての経験は無いのだが、知り合いで子育てに悩む人は少なくない。様々な面で子育ての過酷さを知るのだが、その過程の中で人生観が変わるのだという。本章でもそのことを紹介している。

東大卒で大手企業に入社し、そして退職し兼業主夫になるという異色の経歴を持つ著者。それでも子育ての楽しさがあり、何物にも代えがたい体験をする事ができると言うことを本書にて伝えている。