現代日本の政党デモクラシー

日本の政治は混迷の一途を辿っているという。昨年12月の衆議院総選挙で自民党に政権が戻った。その政権が戻った時期と重なるようにして、今まで停滞気味だった経済も回復し始めた。
経済は成長し始めたにもかかわらず、選挙制度や外交、福祉など課題は山積しており、政局の光明はまだまだ見えていない。

本書は日本の政党や選挙の変遷、そしてこれからについて考察を行っている。

第1章「小選挙区制導入への道」
55年体制の象徴として衆議院総選挙で「中選挙区制」があった。それが1993年に崩壊したとき、非自民8党連立内閣によって「中選挙区制」を廃止し、「小選挙区制」が採用された。しかしその「小選挙区制」はそのときに始まったにすぎず、55年体制の末期に、自民党の長期政権をにらんで作られたという。8党連立政権はそれを黙認したに過ぎない。

第2章「マニフェスト選挙の始まり」
元々「政権公約」として取り上げられてきたものであるが、はじめて「マニフェスト」が定義されたのは2003年の参議院通常選挙である。その背景には新進党から自由党、さらに、民主党に合流した小沢一郎が挙げられる。

第3章「政党政治の構造的変容」
「政党政治」は明治時代の頃からずっと存在するのだがその政権構造は変化が常に起こっている。
ではどのように構造が変化しているのか。党員や支持母体の衰退、あるいは党員や議員同士の対立や離脱入などが挙げられ、それが党が枝葉の如く分かれたり、合併したりしている。最近では選挙の為に離党し、勢いに乗る政党に入る議員も少なくない。

第4章「市場競争型デモクラシーの岐路」
選挙があたかも「市場競争」の如く「トレンド」と呼ばれる政党に入り、何とか再選するようなことも昨年の衆議院総選挙であった。また「マニフェスト」もそれが達成するかどうか、あるいは机上の空論に過ぎなかった、というのもメディアや活動によって評価され、民主党はその「マニフェスト」で自滅してしまった。

今年の7月には都議会議員選挙もあれば、参議院通常選挙もある。今後の選挙はどのような選挙になるのだろうか、まだ定かではない。