おそらく本書ほど、エッジの立ったビジネス書はなかなか見かけない、と言える。
amazonのページを見ても、賛否双方の感想が多いというのも珍しい。それだけ「問題作」と言えるような一冊である。
著者もそれを自認しているようで、本書の帯には「WARNING」として注意書きが記されているほどであり、「危険なビジネス書」と標榜している。
ではその中身とはなにか、本書は成功するための人間関係術である。ではその「人間関係」について見てみよう。
第1章「なぜ、群れることが歓迎されるのか?~チームワークなんて無駄な理由」
日本人は「和」を尊び、「群れる」ことを是としている環境にある。
お互いに「共生」し、尊重し会うような関係を築き、維持することによって成り立つといわれている。
しかし、著者にとってそれは眉唾物であり、それこそ自分自身の価値を下げている原因になる。もっと言うと「安っぽい」「薄っぺらい」ものと断じている。
第2章「あなたの周りにユダがいる!~ウィンウィンが成り立たない理由~」
そう断じた理由として、「友達」や「仲間」「親友」「家族」といった人のなかにはキリスト教における「ユダ」という裏切り者が存在するのである。
仲間を赤の他人に「売る」といった裏切り行為を行う人も出てくる。そういう意味では、安易に「友達」や「家族」といった人々は絶つべきである。
第3章「一匹オオカミの作法~群れない力をつけるテクニック~」
本来人間は一人で生きて、一人で死ぬ動物にある。そこにそっと「支え」があるだけでしか他人の存在はない。
さらに言うと、他人は「テイク」の存在でしかないのである。
第4章「縁切りの作法~賢く人間関係を整理するテクニック~」
薄っぺらい人間関係であり、自分自身が八方美人であれば、今すぐそれを絶ち切るべきであるという。もっと言うと携帯電話やメールアドレスはすべて解約するほどリセットしなければ、人生を変えることができないという。
第5章「孤独の作法~楽しく賢く生きるための習慣~」
勉強会や読書、さらに家族の面倒を見る暇があったら、自分の価値を高め、「自分の人生」という物語の主人公になることが重要である。
孤独になるからでこそ自分自身の価値観と向き合い、見直し、つくることによって、新たな価値観を見出だすことができる。
かなりエッジの立った一冊であるが、おそらく書籍の関係からか、若干マイルドな仕上がりになっているのかもしれない。もっと言うと著者の思考の根底には本書の10倍にも100倍ものエッジが立っているのかもしれない。否定的な書評も散見されるが、おそらくそういた批判があるからでこそ、著者は輝く存在になっているのだろう。ちなみに自分はそういったエッジの立っている人は結構好きである。
良くも悪くも、本書はビジネス書の世界に一種のカンフル剤を与えたと言っても過言ではない。
コメント