動きが心をつくる──身体心理学への招待

人には色々な「動作」を行う。その「動作」は「脳」における運動から来るものであるが、そこからくる「脳」の情報は「心理」と呼ばれる心の情報から来ている。これを分析するのが「心理学」であるのだが、本書はその中から「身体運動」における心理学である、「身体心理学」として心と身体の関連性について分析を行っている。

第1章「心が生まれる前」
人間など動物には「喜怒哀楽」と呼ばれる表情がある。その「喜怒哀楽」の表情は顔に表れるものばかりではなく、「肩をいからせる」など姿勢・仕草から生まれる表情も存在する。「心」と呼ばれる概念が生まれる前はそこから表情を読み取られることが一般的だった。

第2章「心の誕生」
「心」の誕生について取り上げているのだが、その「心」という概念がいかにして生まれたのかいまだに謎が多く、解明するのも難しいと言われている。

第3章「動き、身体、心」
「感覚」「理性」「反射」と動作や考えといったものには様々なものがある。大きく分けてみると、「動き(動作)」「身体(感覚・反射)」「心(行為)」からなる。本章ではそれらを一つ一つ説明されている。

第4章「心が先か、動きが先か」
まるで「卵が先か、鶏が先か」という命題であるのだが、その命題についてダーウィンを始め、3人の動物学者の学説を比較している。

第5章「動きから心へ」
動作から心情へと伝わる要因として、本章では「レスポンデント反応」や「オペラント反応」、「レスペラント反応」などを紹介しながら取り上げている。

第6章「レスペラント反応と生理・心理との関係」
「レスペラント反応」とはなにか。本書では、

「反射と意図的反応の両方を含む反応。主に筋骨格系の反応を指す」(p.51 表5-1より抜粋)

とある。その「レスペラント反応」について呼吸、歩行、表情とともに考察を行っている。

第7章「新しい人間の全体像」
人間における行動について新しい要素である「気」を用いて全体像について考察を行っている。

第8章「人間の根源の様相」
武道に通じている人であれば、「心・技・体」という言葉を聞いたことがあるだろう。その「心・技・体」についての根源を本章にて取り上げている。

第9章「からだ言葉」
「からだ言葉」とはいったい何なのか。本書では、

「体、動き、心、を一つに込めた日常の経験から成り立っている言葉」(p.180より)

とある。その「からだ言葉」から発せられる情報はいったいどのようなものであるかを取り上げている。

第10章「エンボディド・マインド」
またも難しい用語が出てくる。「エンボディド・マインド」とは、

「具現化された心」(p.203より)

と表される。本章は行動がどのようにして「心」に落としこまれていることを取り上げている。

第11章「生活を豊かにする心身統一ワーク」
ここまでは理論について取り上げてきたのだが、本章では実践編として「身体心理学」をいかにして実践するのかを実生活の一つ一つから紹介されている。

「心理学」はビジネスの場でも関心事として取り上げられ、「心理学」を取り入れたトレーニングは存在する。本書はそれとは少し異なるのだが、「身体行動」を見直すための一冊としてうってつけのものと言える。

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