仕事の9割は世間話

私は話すことがあまり得意でないせいか、世間話に関して抵抗があった。仕事をしているわけであったが、それ以外のことについて話すことはもっての他だと思った。
しかしその認識は間違いであった。世間話は仕事を行っていく上で重要なことであるのだという。

本書はその仕事を行って行くに当たり、世間話の効用と、仕事がうまく行くための世間話の段取りを伝授している。

第1章「人間関係は世間話から始まる」
人間関係の潤滑油として「会話」があり、他愛のないテーマは人と人のつながりを持つことができる。その代表として「世間話」がある。では「世間話」とはどのようなものを表すのだろうか。調べてみると、

「世間の出来事などについての、気のおけない雑談。」「広辞苑 第六版」より)

とある。この「他愛のない」話題だからでこそ、接点のないところから関係性が生まれ、それが本題への潤滑油、あるいは会議のアイスブレイクとして役立つことができる。

第2章「お天気ばかりが世間話ではない こんな人の世間話はNG」
とはいえ、「世間話」とは言ってもすべての話題を取り上げて良いわけではない。自慢話や悪口、あるいは専門的すぎる話や長話、さらに言うと本章のタイトルにある「お天気」の話は潤滑油として役立たないどころか、逆にギスギスしたものになる。

第3章「世間話には「狙い」が必要」
世間話をするにも「狙い」や「戦略」は必要である。「世間話」にしても「ものは使いよう」であり、「いつ」「どのタイミング」で「何の話」を切り出すかによって、信頼関係を構築させたり、自分や相手の課題を引き出すことができたりすることができる。

第4章「では、何を話題にすればいいのか?」
「話題」であるが、第2章でも書いたように「天気」はNGである。仕事に結びつかせる話題につながるようなニュースやトピックなどを集めて、それを自分自身の解釈も加えることによって本題に入るための入り口を作ることができる。
また取り上げ方についても肯定的にすることによって相手も乗り気になる。

第5章「うまくいく世間話のための段取り」
会議や商談など状況に分かれるものの、様々な場面で「世間話」の使われ方は異なる。しかし「世間話」を使うためのゴールは相手との距離感を縮めるために使われる。そのための「世間話」の取り上げ方について様々な場面ごとに段取りの作り方を紹介している。

「世間話」だからといって侮ることなかれ。もっと言うとそれを軽視してしまうと、社内外の人間関係を蔑ろにしてしまうことと等しいと言える。世間話は人間関係の潤滑油であり、かつ自分と相手の興味を見つけるために大切なことであり、自分自身の視野を広げることができるための重要な要素である。「世間話」にはそのような力を秘めている。