好奇心ガール、いま97歳

「好奇心」は人の精神を若くさせるのを、本書では伝えているのかもしれない。私自身も「好奇心」の塊であり、幼稚園の頃は触れてはいけないものに触れて怒られたり、大人になった今でも、知らないものやことに触れたい衝動に駈られたりすることが度々ある。

本書の著者はまさに「好奇心」の塊であることを自覚しており、それは年々「好奇心」が強くなっているという。今年で白寿を迎える著者の半生を顧みるとともに、自分自身の持つ「好奇心」とは何かを本書にて振り返っている。

1章「楽しいひとりぼっち」
著者は約30年前に夫を亡くし、それからずっと「ひとりぼっち」を続けている。今でいう「おひとりさま」である。
「おひとりさま」というとネガティブな印象もあるのだが、著者は「おひとりさま」でも「好奇心」があるから楽しく生きることができるのだという。

2章「女性報道写真家への道へ」
著者が「報道写真家」の世界に飛び込んだのは1940年の時、ちょうど大東亜戦争に突入する前年である。当時の女性は「よいお嫁さん」になること、簡単に言えば嫁ぐことが常識とされていた。しかし著者はそうではなく、絵描きや新聞記者を志したのだという。絵描きの修行を行う傍ら、ある新聞記者の出会いで、写真家の道に進み出した。

3章「再出発は71歳」
1940年から10数年の間、特に戦後間もない時から作家や芸能人の他にも皇族の意外な一面も写真に収め、個展を開くようにまでなった。時代は徐々に上を向いてきた、一方で写真家は徐々に人口が増加し、淘汰されるようになり、著者も写真から距離を置いた。様々な事業を行い、最愛の夫の死後、71歳の時にカムバックを果たした。
きっかけは戦後間もないとき、かつて「写真家」としてとった写真たちの活躍だった。

4章「花は始めも終わりもよろし」
写真家の道に舞い戻った著者は様々な方を撮影しながら、好奇心の赴くままに写真家の活動を続けた。活動と同時におしゃれも行ったり、恋をしたり、夢を見たりしている。齢90を重ねても、というよりますます「若さ」をみなぎらせている。

好奇心や夢は年齢も性別も関係ない。日本初の女性報道写真家は激動の時代を紆余曲折を繰り返しながら、走り続け、走り続けた所で好奇心を呼び起こし、挑戦を続けている。その姿は活字越しで見る私たちにとっての「生きる力」となる。