千葉の逆襲

私は千葉県には1度しか行ったことがない。しかもその一度は高校の時の成田空港の時だけである。
私事はここまでにしておいて、千葉は首都圏でありながら「郊外」であり、かつ都市や田舎が共存している印象がある。これについては千葉だけではない、埼玉や茨城、私の住んでいる神奈川も同じ事が言える(無論、東京も西部に行けば田舎のような場所も存在する)。

千葉には千葉にしかない魅力が沢山隠されている。その魅力はライバルである埼玉おろか、都会という羨望で見られる東京でも勝てない。その勝てない「魅力」とはいったいどこにあるのか、そもそも千葉の良さはどこにあるのか。本書では「逆襲」と銘打って紹介している。

第1章「あのライバル(さいたま)県にないアレで逆襲」
千葉と埼玉では、関東における「3位争い」を行っているという。関東の1位は東京、2位は神奈川であるのだが、むしろ神奈川に打ち勝つ、もっと言うと東京に打ち勝つくらいのモチベーションが無いと面白くない。
ただ、千葉と埼玉の違いを比較するのは面白い、海に囲まれた半島にある千葉、内陸に位置する埼玉、歴史上の人物、土壌や地層に至るまで本章では千葉と埼玉を比較している。

第2章「しかし千葉らしさって、あるの?」
千葉の県民性とはいったいどこにあるのだろうか。首都・東京と隣接しているだけあり、移民する場所として最適である。これについては埼玉や神奈川でも変わりはない。
千葉にしかない魅力としては「地名」が多く、東西南北にしても「上総(かずさ)」「下総(しもうさ)」「安房(あわ)」「内房」「外房」などがある。今挙げた5つはかなり大まかに分けただけであるが、それを細かくするともっと多くなる。

第3章「[東葛 VS 葛南]千葉の覇権争い」
千葉の内紛(?)というべきか、地方同士でいわゆる「覇権争い」が起こっているのだという。千葉県民以外の方にはあまり聞き慣れない名前であるが、「東葛(東葛飾の略称。野田、流山、柏、我孫子、松戸、鎌ヶ谷などがそこにあたる)」「葛南(市川、船橋、浦安)」の争いが絶えないのだという。
小中高の教員の異動から始まり、観光名所、地域の歴史など比較対象は多岐にわたる。

第4章「巨大施設と巨大工事がもたらしたもの」
千葉には「東京○○」と言われるものは少なくない。有名どころというと、舞浜には「東京ディズニーランド」、成田には続に「成田空港」と呼ばれる「成田国際空港(旧名:新東京国際空港)」などが挙げられる。
千葉には東京と銘打った施設だけではなく、数多くの巨大施設を抱えている。他にも印西地方であれば「千葉ニュータウン」といった住宅地開発も盛んに行われている。

東京のヘッドタウンの一つとされる「千葉」なのか、それとも地方としての価値を見出す千葉なのか、その価値はどこに行くのか定かではないのだが、千葉の特性は埼玉や東京、神奈川にはないものは間違いなく存在する。その特性に目を向けて「千葉」としての色を見出したのが本書と言える。