企業には「顧客満足度」「従業員満足度」があるように、市町村などの自治体にも「市民満足度」が存在するという。しかしその「市民満足度」はあまり認知されていない、もといメディアではあまり出てこない。強いて言うならば、市長の支持率といった方が良いのだろうが、それとは異なる。
あまり知られていない「市民満足度」は行政サービスや政策立案を行うにあたり大切な要素といわれているが、はたして、市民満足度はどのように運用され、使われているのだろうか。本書はめくるめく「市民満足度」の使われ方、そして課題に帯して分析を行い、改善策を示している。
第一章「満足度の捉え方と分析」
満足度の捉え方は簡単で、行政サービスを受けたあとに書く市町村が独自にアンケートを行う。そのアンケートは「満足」~「不満」までいくつかの段階に分けた選択肢で回答を行い、任意でその理由を記載するものである。ただし、市町村や都道府県によっては回答方法が異なるため、本書では一般的なアンケートを参考にして取り上げている。
第二章「満足度と誤認」
満足度の調査はユーザーである市町村民や都道府県民の「主観」によって調査される。また、評価も行政サービスを行う方々の「主観」によって決められるため、偏向的になりやすく、かつ、誤認が生じやすい。そのため、主観的な分析をどのようにして客観的なものにするのか、実在するアンケートをもとに分析・検証を行っている。
第三章「満足度の因果モデル」
「満足度」をどのようにとらえるか、個人の判断に委ねなければならないか、というと、「満足度」には「因果モデル」と呼ばれる、因果関係が存在している。それは満足度や苦情から品質や価値を見いだすことができ、それが「満足度」のプラス・マイナスが左右されるという。ただ、どのように示されるのか、については統計分析における公式が使われるため、ここでは割愛する。
第四章「満足度の要因」
アンケートの結果から読み取る満足度は「因果モデル」を用いて分析されるのだが、アンケートからくる「要因」とはいったい何なのだろうか。本章では「要因」の意味と、対立しやすい「論点」について検証を行っている。
第五章「因果モデルの地方行政への適用」
満足度を計測し、因果モデルに当てはめることによって、行政サービスや政策に対する課題も浮き彫りになってくる。本章ではニューヨーク市などの実例をもとに、アンケートがどのように運用されているのか、そしてどのような因果モデルを構築しているのかを紹介している。
第六章「満足と不満の分析」
満足できる政策やサービスがある反面、不満のある政策やサービスも存在する。その両方にはどのような効果があり、改善を求めるべきかを本章にて検証を行っている。
第二章に書いたのだが、アンケートは偏向はあれど、サービスや政策の恩恵を受けている私たちの「生の声」を映し出している。その「生の声」をどのように活かし、応えていけるように改善していくのか、その戦略もまた必要である。それは行政サービスを行っている市町村や都道府県だけではなく、企業にしても同じことである。ただ単にサービスを行えばいい、というだけではもう私たちには通用されない。だからでこそ、行政は満足度を受け止め、私たちは声をアンケートやメールなどの「形」にしていくことが使命なのではないかと思う。
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