不思議の国の「みなみ」 宇宙へつながる秘密基地

私たちが住む地球には、目に見える「物質」と目に見えない「非物質」が存在する。その中でも「被物質」なものには「時間」や「神話」「現実」「空想」「幻想」などが挙げられる。「物質」にも私たちがあまり触れられないものとして「宇宙」が挙げられる。

私たちが生活している中で全く触れられないものは物質・非物質をつなげるもので「数」にフォーカスを当てている。その「数」も1,2,3といった「実数」や「虚数(iの2乗が-1と定義しているもの)」「誕生数」「十二進数(タロット占いでよく使われる)」などが取り上げられている。

第一章「物質でない世界など本当にあるのか?
本書はめくるめく物質や宇宙、時間など様々な世界を少女「みなみ」が物質ではない世界を転々としながら旅する作品である。
一つ目は「物質の無い世界」を探すべく日本の某所に行き着いたところから始まる。

第二章「時間は本当に一方的に流れているのか?」
本章では「時の流れ」について取り上げているが、第一章からの延長線上で時の流れについても通じているところがある。どうやら日本の童話における「浦島太郎」の竜宮城に滞在した時間というものを題材に「時間の流れ」を考察しているのかもしれない。

第三章「神話の出来事は本当にあったことなのか?」
日本における「神話」は「古事記」や「日本書紀」などにより描かれた。元々日本国における初代天皇の神武天皇が即位した時はまだ「神話」と呼ばれた時代だった。諸説あるが紀元前600年頃と言われたというが、神武天皇に限らず、古事記や日本書紀で伝えられていたことは実在していたのか、本章ではそのことについて考察を行っている。

第四章「タイムトラベルは本当にできるのか?」
アニメ「ドラえもん」のタイムマシーンや、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンなど空想であるが、時間旅行をする道具は出てくる。しかしその時間旅行は本当にできるのだろうか。本章ではスピリチュアルな観点から本当にできるのか考察を行っている。

第五章「何が現実で何が幻想なのか?」
「幻想」と「現実」の違いは単純に「ないもの」と「あるもの」としか答えようが無い。その幻想と現実の狭間とはいったい何なのか、両者にはどのような定義がなされているのか。本章ではそれらについて取り上げている。

第六章「なぜあんなことが起きてしまったのか?」
「あんなこと」というのは「東日本大震災」のことである。本書はこの日を軸にして現在・過去・未来それぞれの時間軸を移動しながら幻想と現実の狭間についてスピリチュアルに論じている。

第七章「龍は本当に単なる空想動物なのか?」
日本に限らず「神話」にもあり、「童話」にもあり「龍」という生物は本当に存在するのだろうか、というと疑わしい。少なくとも「恐竜」は存在したことは確認されているが。本章ではまとめとして「龍」の存在について幻想と現実の狭間とともに取り上げている。

本書はスピリチュアルな本なのか、あるいは神話について考察を行ったのだろうか、それとも物質・非物質について考察を行ったのか、はっきりとわからず、読後感もぼやけていてならない。少なくとも「現実」と「幻想」の区別を様々な角度から取り上げているのだが、それらは哲学の範疇で考察されることが多かった。それを哲学抜きで考察を行っている所を見ると、斬新さがある一方で、釈然としない部分が多く残ってしまったのも否めなかった。ただ、その釈然としない感じが、本書のタイトルで言う「不思議」と言うのかもしれない。