サイバー時代の戦争

今世界中では大小問わず戦争・紛争が起こっている一方で言論やサイバー、外交などで見えないところで「戦争」が起こっている。日本は武器の戦争は憲法9条で認められていないが、外交やサイバー、言論における「戦争」に対抗することができる。

見えない戦争の中で「サイバー」は、とりわけ私たち国民の目には見えない戦争と位置づけられており、日本としてもあまり認知され知無いだけに対策は急務と言えよう。
本書はめくるめく「サイバー戦争」の最前線と今日本が出来る事を明かしている。

第1章「サイバー戦争最前線」
戦争は武器を持つ者とイメージづけられているが、大方は「情報戦」である。武器による闘いは悲しみを生むためそれは行うべきではないにしても、武器がなくなれば戦争はなくなるかというと、まず無くならない。
それはサイバー攻撃やインテリジェンスといった武器を使わない「戦争」が世界各地で行われているからである。
その事例としてシベリアのパイプライン爆発などが起こったことを挙げているが、他にもアメリカのホワイトハウスや日本における各省庁のサイバーテロが横行していることが挙げられている。その多くは中国からのハッキング攻撃もあれば、機密情報の流出と言ったものもある。

第2章「ロボットと透明戦争」
サイバー戦争は「武器のない戦争」と言ったが、他にもサイバーを通じて無人攻撃機をコントロールすることがある。そのために「武器のない」というのは些か誤りだったのかもしれない。
サイバーテロになると、サイバーを通じて無人偵察機や無人攻撃機などサイバーを通じて攻撃をしたり、偵察をしたりする事で誤操作を生み出し、自国に多大な損害を与えることさえある。

第3章「アフガン・サイバー戦争の旅」
2001年から2002年にかけてアメリカによる侵攻が行われたところで知られているアフガニスタンでは、武器による紛争もあれば、サイバー上での戦争も起こしているのだという。アフガニスタン侵攻においてもサイバー攻撃は行われたが、あくまでインテリジェンスにおけるサイバー攻撃を行っていたのだという。

第4章「透明な新国際秩序」
国連、アメリカ、中国、ロシアを始め軍事的な力を持つ国々には必ずと言っても良いほど諜報機関が存在しており、かつサイバー攻撃をおこなう、もしくは防ぐための技術も結集している。「透明」と言う言葉が使われるのは情報戦だけあり、公開・機密双方の情報が筒抜けになる事からだと言える。

第5章「日本ならではの道」
では、日本としてはどのような道に進めばよいのか。軍隊を持つことが認められていない、あるいは戦争を起こすことは憲法上認められていない。しかし「情報戦」は戦うことができる。最近では「日本版NSC」の構築が取り上げられているのだが、それは取り上げるべきである一方でアメリカの二番煎じにならず、「ならでは」の道を構築する必要がある。

「サイバー戦争」は今までもそうであるが、これからさらに広がりを見せることになるだろう。武器の戦争は縮小傾向になる一方で見えないところの「戦争」は技術の進歩とともにエスカレートしていくだけに日本の対策は急務である、と言うことを本書で知らしめたと言っても過言ではない。