もしも自分が見える世界が無くなったら。
もしも自分で歩くことができなかったら。
自分は「どうしよう」と感じる以前に、本当の意味で目の前が真っ暗になってしまう。現に突然ハンディを負ってしまう、場合によっては一生寝たきりになってしまうこともゼロでは無い。
本書の著者は物心の付いた頃に失明し、目が見えなくなってしまった。しかしハンディをもろともせず、津軽海峡縦断リレーやトライアスロン、さらには南アフリカ最高峰であるキリマンジャロ登頂をチャレンジし、成功した女性である。その女性が今、夢について、人生について大いに語った一冊である。
第1章「私の好きなこと、得意なこと」
著者の好きなものとしてパソコンや読書、料理といったインドアなものもあれば、話題のスポットに足を運ぶ、スポーツを観戦する、あるいはオシャレをするといったアウトドアであったり、ふつうの女の子とおなじ好きなものを持ったりしている。さらにピアノも得意で弾き語りもおこなっているのだという。
第2章「いろんな経験をさせてもらった子ども時代」
小さな頃から目が見えなかったハンディを持つ著者は、危険なことでもどんどんチャレンジしてくれる環境にあった。その中で自分自身の危険を感じたら辞める、もしくは面白くなったらチャレンジを続けるという「チャレンジャー精神」を培っていった。
第3章「「自分に負けず嫌い」だった学校生活」
著者は小学校から高校まで盲学校に通った。自宅から非常に遠く、近くにマンションを借りての生活だった。盲学校の中でのエピソードは勉強を含め枚挙に暇が無いほどだった。さらに学校生活外において移動時のエピソードについても綴っている。とりわけ校舎は「健常者に出来る事」として肝に銘じるべき事と言える。
第4章「夏休みの挑戦」
最初にも書いたのだが、著者は「津軽海峡縦断リレー」「トライアスロン」「キリマンジャロ登頂」にチャレンジし、成功した。
この3つはいずれも先週放送された「24時間テレビ」の企画で行われ、放送された。いずれも夏休み中に行われ、紆余曲折だったエピソードが綴られている。
第5章「もうひとつの夢」
チャレンジをして行く中で、著者はもう一つの夢がある。
―それは「音楽の道」である。
かねてからピアノを学んでいた著者は音楽を通じて自分を伝えたいのだという。現に講演・弾き語りを全国各地で行っており、伝えている。
物心ついたときから目が見えないハンディを負った。ハンディにもめげず様々なチャレンジを続けながら、次々と夢を追う姿は同じハンディを負った人だけではなく、私たちの世代にも同じようなエールを送っているような気がする。本書は「チャレンジをするために私は生きてきた」ということを体現した一冊だった。
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