不可能を可能にする視力再生の科学

私自身、今はそれほど近視など、視力に対して難はないのだが、高校の時に「仮性近視」と呼ばれる症状にかかり、左目が低下してしまった。これについては何とか直り、今となっては正常である。
その一方で私の周囲には、近視に悩み、眼鏡を余儀なくされるひとも少なくない。中には老眼に悩む人もいる。老化によるものもあるのだが、昨今のようにパソコンなどの普及により、視力そのものが低下しやすい環境にあると言える。

本書は近視や老眼など、目についてのリスクをたった1回の手術で直すことができるのだという。医療技術が進歩しているのだが、その要因についてどのような技術があるのかを本書では紹介している。

第一章「老眼鏡がいらなくなる!?」
まずは「老眼」であるが、そのメカニズムは老化とともに眼の中にある「レンズ」と呼ばれる箇所が老化により、硬くなってしまうことにある。レンズが硬くなってしまうと、遠いものを見たり、近いものを見たりする、いわゆる「ピントを合わせる」ことができなくなる。
それを直すために、「アキュフォーカス・リング」や「CK(Conductive Keratoplasty)」を取り上げている。

第二章「近視・乱視・遠視が十分で治る!」
近視治療を行うとすると、短くて数ヶ月、長くて数年かかるケースもある。私も仮性近視の治療を行ったのだが、完治するまで4ヶ月かかった。
しかし本章で紹介される方法ではものの10分で完治することができるのだという。今となっては一般的になっている「レーシック」の技術である。しかし、2009年にレーシックによる感染症の事件が起こっており、「レーシックは怖い」というような考えを持つ人も少なくない。

第三章「あなたの目、クリアに見えていますか?」
眼鏡を利用していても、度が合っておらずよく見えていない近視眼の方々が多いのだという。そもそも視力を測る「視力検査」は「ランドルト環」と呼ばれる圓の中に部分的に空いているところを見つけて、答える形式である。それで正確に視力を測ることができるのかというと難しい。
さらに矯正をする、といっても今の仕事や日常生活に支障をきたさない程度であれば良いのだが、過度な矯正をする人もいる。

第四章「見ているのは「脳」である」
目で見えているものすべてが情報ではない。あくまで目で見ているのは見えてくる「光」であり、光の加減を脳で認識して、はじめて映像が見えることにある。
しかもその「映像」は平方から立体へ、ほかにも色々な「形」も映し出すことができる。

第五章「白内障治療最先端」
「白内障」に悩む人も少なくない。「白内障」とは、

「水晶体が灰白色や茶褐色ににごり、物がかすんだりぼやけて見えたりするようになる。以前は「白底翳」(しろそこひ)と呼ばれていた。」Wikipediaより)

とある。いわゆる水晶体の異常である。昔は効果的な治療法はなく「失明」へ一直線と言われるような病気だったのだが、医療技術は進歩したことにより、「完治できる病気」にまでなった。その一つとして「眼内レンズ」を本章では取り上げている。
他にも最近話題となっている「遠近両用レンズ」のメカニズムについても紹介されている。

第六章「視力に大切な網膜と神経を守る」
失明の原因となる病気は前章にて取り上げた「白内障」はもちろんのこと、視力に最も大切な「黄斑(おうはん)」という部分が変性して視力に障害をきたす「黄斑変性」、網膜神経の細胞が死んでしまうことにより起こる「緑内障」が挙げられる。日本では失明に起因する病気として1位に挙げられるのが「緑内障」である。
その2つの病気を未然に防止するためには健康診断だけでは無く、少しでも異常に思ったら専門の眼科医に相談する事が大切であるという。

第七章「角膜移植最先端」
失明の危機に瀕したときの治療法であまり知られていないのが「角膜移植」である。かつては「特別な医療」として扱われてきたのだが、近年は「アイバンク」と呼ばれる角膜のドナー登録も増えてきており、角膜移植自体が「特別な医療」として扱われることはなくなった。
とはいえまだまだ専門医不足などの問題もはらんでいる。

第八章「iPSを用いた再生医療にかける夢」
2006年8月に京都大学の山中伸弥教授らが世界で初めてiPS細胞の作成に成功した後、2012年にはノーベル生理学・医学賞を受賞した。著者はこのiPS細胞を利用して、涙腺や網膜の再生に役立てられるのでは、と指摘している。

第九章「目の若さを保つ方法」
老眼・近眼など目の衰えは気を付けることによって防止することができる。
その対策として「血管予防」「サプリメント」「低GI(グリセミック指数)食」などを提唱している。

昨今では「眼」に厳しい環境にいると行っても過言ではない。だからといって近眼でよいのか、と言われるとそうではない。むしろ視力再生はこれからの医療技術の進歩により不可能と思われたものがどんどん可能なものに変貌する。本書はその片鱗を見せた一冊と言えよう。

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