「世界的な投資家」というとゴマンといるのだが、その中の頂点に立つ人は限られており、ウォーレン・バフェットは数少ない人物の一人と言える存在である。そのウォーレン・バフェットはどのような言葉を遺してきたのか。本書は名言集と解説を88個紹介しながら、投資とは何か、ビジネスとは何か、人生とは何かを説いている。
第1章「逆を行くことだ。ただし正反対では芸がないな」
「あえて逆を行く」
と言う言葉がある。それは誰でもやるようなことをやっても効果が無い、効果があったとしても、レッド・オーシャンになっている分効果は薄いと言える。
しかし「真逆」ではなく、自分自身の「思考」と「観点」で「逆」を行き、実行するか、それを行う理由をもって、貪欲と節制のバランスを保ちながら芯をもつことが大切であるという。
第2章「あわてず待とう。時間が幸運を連れてくる」
「投資」というと、売り買いが激しく行われ、休まる時がないというイメージがあるのだが、投資そのものは「機会」をいかにとらえるかどうかの世界である。その機会をいかに適切かどうか、さらには引き時はどうするのか、投資は時間をかける時とかけない時が存在する。
第3章「ギャンブルは禁止。最後にゼロをかければゼロになる」
「投資はギャンブルだ」という考えを持つ人もいる。あながち間違いではなく、例えばレバレッジの倍率を高くかけたFXなどはまさに「ギャンブル」と行ってもおかしくない。
しかし全てが全てギャンブルではなく、むしろ堅実にお金を殖やすことができる「投資」も存在する。ただ「堅実に殖やせる」と言っても、状況によって「元本割れ」と言われる損失のリスクも覚悟する必要がある。
第4章「「人」に投資をするんだ。好きというより組める相手さ」
「投資」というと会社に投資するものだという認識を持つ人が多いのだが、バフェットは会社の中にいる「人間」に投資をするのだという。会社は人無くしてはできないこと、さらには会社は中にいる人によって繁栄したり、衰退したりすることを知っているからである。
第5章「公開情報を深く読め。裏情報なんてカモを釣る餌だ」
投資は「頭を使う」と言われている。それは昨今の経済状況はもちろんのこと、投資する、あるいは投資しようとする企業の状況を知り、判断して投資を行う。バフェットもその考え方に例外はなく、投資家として50年以上欠かさず、企業の年次報告書(マニュアルレポート)を熱心に読んできた。
投資をするにも、多かれ少なかれ「理由」を持つ。それは感覚に頼った理由ではなく、企業動向や経済状況などマニュアルレポートをいかに読み込むかによって眼を肥やし、強固な証拠付けにする事ができる。
第6章「得意分野の外に出るな。臆病は危機管理になるんだ」
人には誰しも「得意分野」が存在する。その得意分野から裾を広げて新たなチャレンジをする事もまた一つの手段だが、バフェットはむしろ新たなチャレンジをすることよりも、新しくチャレンジすることは臆病になり、得意分野の中で勝負を挑んだ方が良いことを推奨している。
第7章「いつも「誠実」の側に立て。信用なき金持ちは叩かれる」
投資をすることは「お金」の売買ではない。「信用」など「事業」「人柄」を売買するものである。バフェットはそれを忠実に守って、荒れ狂う波のような経済を日和見で見ることがなく、自らの考えと経済観、さらには「誠実」な人柄を築くことができる。
第8章「お金以外の目的を持つ。欲から自由になるコツさ」
ほとんどの投資家が言うことだが、投資はお金儲けのためにやるのではない。むしろ「投資」をすることそのものに楽しさを見出し、好きになった。バフェットは少なくとも自分自身の仕事に誇りを持ち、喜びとしている。
ウォーレン・バフェットは世界的な投資家であるのだが、彼から紡ぎ出す言葉には投資の世界だけでは無く、ビジネスにも通用するものがある。それは「お金」「仕事」に共通しているものなのかもしれない。
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