「公務員」は現在、志望者も非常に多く大企業並み、いやそれ以上の人気だという。実際に私の周囲にも公務員として働いている人も少なくない。その理由として「安定的」であること、さらには「解雇のリスクがない」といった理由がある。
その一方で「税金ドロボー」や「甘い汁を吸っている」「サービスがなっていない」というようなバッシングも少なくない。
しかし本当に「税金ドロボー」で「サービスがなっていない」のだろうか、元公務員であり、現在は民間企業のコンサルタントとして活躍している方が、公務員の現状について明かしている。
第1章「給与・福利厚生 お役人の待遇は本当にオイシイのか」
「公務員は厚遇だ」という声があるという。給与も良く、かつ公務員宿舎も豪華だという主張だが、実は公務員宿舎そのものが築30年以上のものが多く、巷でいうオンボロアパートよりもひどい状態であるという。しかも給与は表向きには民間より高めだが、民間企業によっては公務員よりも良いケースがあるのだという。
第2章「天下り問題 ケシカラン天下りを徹底検証」
第1章で述べた、給与が高い、という考えは確かにそうかもしれないが、それは公務員によって異なっている。しかし給与とは行っても、中央と地方、さらには出世レースによって「格差」が生み出されている。しかも地方公務員の多くの給与は引き下げを行うことが所々あり、場所によっては薄給のなかで一生懸命働いている人もいる。しかも長期的に働いた人たちのための「退職金制度」の崩壊の心配もある。
さらに「天下り」についても言及しているが、公務員から民間企業へ「天下り」に頼らず転職をしている人にとっても「元公務員」や「元官僚」といった偏見があるという。
第3章「勤務実態 「グータラなくせにクビがない税金泥棒」の実像」
「公務員」というと、勤務時間内だけ働く、しかしグータラな人も多くて、本当は甘い汁を吸っているだけではないか、というイメージを持つ人も少なくない。とりわけ中央省庁に働いている人に対しては「グータラ」というイメージを持つ人が根強い。しかし私自身霞ヶ関の近くを歩いた経験が何度もあるのだが、夜遅くになっても働いている方々が多く、中央省庁の建物を観ると一日中ライトが灯っているところもある。その原因として、人が少なくなっているとは正反対に、仕事量が増えてしまい、一人当たりの仕事量が急激に増えているという。
しかし、中には「グータラ」と言える人もいるのだが、それは「内部留保」であり、「災害」などいざというときの人員が必要であるためである。
第4章「コスト感覚 お役所はなぜ税金をムダ遣いするのか」
「ムダ遣い」という概念はお金もそうであるが、時間も同じである。しかし公務員は全員が全員、コスト感覚がないわけではない。あくまで「計画至上主義」という概念が浸透しており、コストを削る概念が強い、しかし、計画を立てることに時間とコストをかけてしまうことが原因としてある。しかも新たなる仕事は部署間の押しつけ合いがあり、よけいにかかってしまうという。
第5章「無責任体質 リスクや責任をとらない理由」
規制緩和やリスクをとるために消極的なのが公務員の悪いところとしてある。それは公務員自体、不祥事をおそれる、リスクを回避する傾向にあることがあげられる。本章のタイトルにある「無責任体質」と言えるのかもしれないが、これは今の民間企業、もとい日本人そのものの体質にも言えることである。
第6章「マスメディア TVもダメ、新聞もヘン?」
「官僚=悪」「公務員=悪」というイメージを持っているのだが、これはマスメディアによってつくられたものであり、むしろマスメディアの方がヘンであり、むしろ「悪」ではないか、という疑いを持ってしまう。
しかしマスメディアは決して正しい情報を流すわけではなく、イデオロギーでもって主張したり、報道したりすることさえある。
私たちはどうしたらよいのか、それは常に「疑う」ことを心がけることにある。メディア・リテラシーは「疑う」というところから始まる。
第7章「クレーマー 国民からの苦情窓口としてのお役所」
私が住んでいるところの市役所に行くことがあった。確か年金担当だったか、覚えていないが、窓口にたって怒鳴っている人を見かけたことが何回かある。中には苦情を言ったのかもしれないが、むしろストレスのはけ口のような発言を繰り返している人もいた。
それはさておき、「お気楽」とも言えるような市役所職員のように見えるが、特にクレーム対応は市役所の仕事の中でももっとも多い業務の一つとして挙げられている。本章では役所のクレーム処理の傾向と「適材適所」のあり方について取り上げている。
私たちは公務員の仕事の中身についてはあまり知らない、知らずが故に、メディアに流された情報だけを鵜呑みにして無闇にバッシングをする人も少なくない。そういったバッシングから脱するためにどうしたらよいのか、それは本書のような公務員の実態を知ること、そしてそれを自ら疑いを持ち、考え、時には主張することが大切である。しかし主張するときは自分のエゴを捨て、本当の意味で役所の為に主張することが必須であることを忘れてはならない。
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