すべてのマラソンランナーに伝えたいこと

今年も残り1ヶ月を切った。「来年が言うと鬼が笑う」という言葉もあるのだが、来年の3が日は駅伝の3日間というのが風物詩としてある。元日には実業団の「ニューイヤー駅伝」があり、2・3日には今年で90回の節目を迎える「箱根駅伝」がある。3日とも「駅伝」が目を離せないのだが、その「駅伝」を走る選手の中にはフルマラソンなどに挑戦する「マラソンランナー」も少なくない。男女とも、有名なマラソンランナーを輩出している日本では「マラソン王国」に相応しいと言えるのだが、その日本を代表する元マラソンランナーであり、現・DeNAランニングクラブ総監督の瀬古利彦氏がマラソンランナーのあり方についてのイロハから伝授している。

Chapter1「マラソンで大切なこと」
マラソンの魅力は人それぞれある「速く走ることへの魅力」「駆け抜ける楽しさへの魅力」「走り続ける過酷さへの魅力」など様々である。マラソンの走る距離は42.195㎞と果てしなく長いのだが、その中で心が折れることも、ひとりで走れないことも、シューズのことも、フォームのことも全て問われる。なので、本章の「大切なこと」は多岐にわたるのである。

Chapter2「折れない心の作り方」
42.195㎞のフルマラソンは私も1回だけ走ったことがある。果てしない距離で、やっとこさゴールはした物の、その後2~3日間は足を中心とした激しい筋肉痛に悩まされ、歩くことすらままならなかった。当然走るのも果てしない距離であり、時間もかかるため、どこかで「心が折れる」と言うことも度々ある。本症では「折れない」ための心づくりについて自らの体験談を元に綴っている。

Chapter3「マラソン道入門」
本書を読む人の中には「マラソン」の「マ」の字も知らない人も少なくない。走るためにはどのような考え方が必要なのか、そしてどのような練習が必要なのか、そしてマラソンの「醍醐味」とはいったい何なのかを伝えている。

Chapter4「我がマラソン人生を振り返る」
著者がマラソン人生は中学生時代に遡る。たまたまかり出された市の陸上大会の2000メートル走で優勝したことを皮切りに、中長距離に興味を持ち始めた。後に陸上の強豪高に進学し、めきめきと当確を表しはじめ、駅伝でも活躍し始めた。後に早稲田大学に進学し、ヱスビー食品でマラソンに言ったのは言うまでもない。
しかし著者は順風満帆にマラソン人生を迎えたわけではなかった、箱根駅伝では大活躍をするも、マラソンでは日本では活躍していたが、オリンピックなど海外では伸び悩んだ。本章の冒頭に「努力は報われない」と綴っているのはそのことが入っているのだろう。
さらに、マラソンは走るだけではなく、早稲田大学・ヱスビー食品・DeNAと「教える」側面、そして解説する側面から「マラソン」の奥深さを見出し、今もなお伝えている。

Chapter5「私が伝えたいこと」
今のマラソン界の現状、そして日本におけるマラソン界の現状に対しての自らの考えを綴っている。それはマラソンの発展だけではなく、「日本の代表的スポーツ」としてのマラソンを広めること、そして強い選手を作ることまで幅広い。

著者が実際にフルマラソンのランナーを杯知ったのは11年である。しかしその前後の偶然がマラソンの世界に誘われ、そして今もなおマラソンの魅力を伝えている。そしてその魅力が、かつて日本を代表するマラソンランナーに育て上げられ、そして指導する立場になっている。マラソンはブームになっていると言うが、それをさらに充実した物にするために、「マラソン」という世界を知り尽くした男の背中があると言える。