文明と教養の<政治> 近代デモクラシー以前の政治思想

昨今の政治は「民主主義政治」である国は先進国を中心に多くある。その一方で独裁国、あるいは共産主義、社会主義の国も少なくない。政治形態そのものは世界の国の数だけ存在する、と言うことが言える。しかし政治形態は時代と共に変化していくのは人類、あるいは動物の進化と同じようなものである。では現在の様な政治はどのような形で「変化」をして行ったのか。本書は近代と呼ばれた時代以前の政治形態を文明などの観点から紐解いている。

第一章「政治における教養と技術」
本書はあくまで「政治史」ではなく、「政治『思想』史」である。そのため昨今の政治と、絡めることは不可能であることを前置きで言っておきたい。
本章では政治思想とは何かについて、政治思想学の第一人者だった丸山眞男の考察と共に解き明かしつつも、政治思想学としての「技術」と「教養」とは何かを解き明かしている。本章はその政治総額の基礎編にあたるが、政治思想について詳しくない人は、本書の前に図解本を読むなどをして基礎知識を持つ必要がある。

第二章「実践知の政治学」
政治と言っても理論で成り立つわけでは無い。「実践」をする事により、初めて政治にしても哲学にしても生きたものになってくる(だからといって理論を否定している分けでは無く、理論でも実践につながるものもある)
本書のサブタイトルである「人文主義」と呼ばれる政治形態はその「実践」による哲学や政治によって成り立たせた産物と言える。

第三章「文明の作法」
ここでは、「文明」と記しているが、実際には「教養」のあり方を宮廷政治の舞台、いわゆる「絶対王政」を敷いていた時代における政治を解き明かしつつ、人文主義の全容をさらに深めていく。

第四章「失われた政治学」
本書で紹介している政治学は「近代以前」と書いてあるが、実際は「ルネサンス」と呼ばれた時期から18世紀にかけてのものである。その時代以降の「近代」の時に政治学的な観点から「何を失ったのか」を考察している。

本書は中世から近世までの政治学としての「思想」について、宮廷(王政)を中心に考察を行っている。第一章でも言ったのだが、あくまで本書は政治思想の基礎を全て覚える、そして中世~近世にかけての政治を習熟していないとついて行けない一冊である。しかしそれさえ身につければ、今の政治とは違った政治のあり方を見つけることのできる格好の一冊である。