女一生の働き方―貧乏ばあさん(BB)から働くハッピーばあさん(HB)へ

昨今の日本は「超高齢社会」と呼ばれる時代にある。平均寿命を見ると男性は79歳ほど、女性に至っては86歳にまでなっている。しかも高齢者の数は日本の総人口の4人に1人近くの状態にあるのだという。特に女性は長生きをする、その長生きになるのだが本書で述べている「貧乏ばあさん(BB)」の様な生き地獄に会う人もいれば、老後の人生も充実した「ハッピーばあさん(HB)」を送る人もいる。

還暦を迎え、世間的に「ばあさん」と言える人生だからでこそ、何もせずに貧しい人生のままで終わらせるよりも、無くなるまで現役で働き続け、輝き続ける人生の方が良いと思うだろう。

本書は女性の還暦以降の方々を「ばあさん」と形容し、現状と明るい未来への指針を示している。

第1章「女立ちの「老働力」が日本の未来をひらくー人生100年時代の新しい働き方」
これからの日本は「老働力」が重要視される時代になる。実際にそういった年代の方々を対象にした採用の門戸も広がり始めているが、それでもまだ門戸は狭いと言える。しかし現在の高齢者は健康的である方々が多く、バイタリティも十分であるため、重宝する所もあれば、高齢者の中でも健康であること、そして安定的な生活を生涯持ちたいという願いから、働きたいという需要は高い。

第2章「貧乏ばあさん大国、ニッポンーBB(貧乏ばあさん)ただいま大量発生中」
第1章でも書いたが定年を迎えた方々を対象にした、労働の窓口は以前狭いままである。さらに言うと、ようやく働き口ができたとしても、なかなか稼げない、と言う現状がある。
そのために働いていても貧乏に陥ってしまう、いわゆる「ワーキング・プア」と呼ばれる様な状況に陥っている高齢者も少なくない。特に女性はそれが顕著に表れているのだという。

第3章「働く女性の「すべり台三度笠」―BB(貧乏ばあさん)へのロードマップ」
働く女性に対して、3つのすべり台があるのだという。

1.第一子出生
2.夫の天職・解雇、パート就労
3.定年

この3つは人生の転機として表れ、さらに保険料の増加、生活費の増加、そして給料の減少に薄謝を書ける様な事になっている。それらのすべり台のうち、1つでも引っかかってしまうと、せっかくの収入も減少し、たちまち「貧乏ばあさん」の仲間入りを果たしてしまう。

第4章「全国津々浦々に働くばあさんーHB(働くばあさん)実情レポート1」
その一方で、今もなお働いている「ばあさん」達がいる。一つ目には全国津々浦々で働けるばあさんとして、働ける職種といったものを紹介している。

第5章「働くばあさん、今を輝いて生きるーHB(働くばあさん)実情レポート2」
ここでは具体的に「働くばあさん」の取材を行ったものを紹介している。本書が出版されたのが2010年であるため、3年後を迎えた今年には、さらに活躍している方々もいるのかもしれない。

第6章「老いて働き、おしゃれを楽しむーきりりしゃん、鏡の向こうに社会が見える」
老いていてもオシャレをするなど楽しみたいと言うのが女性の特権である。本章では労働や健康などの観点から「働くばあさん」のあり方について提示している。

超高齢社会となっている今だからでこそ、働ける場所は広がってくるし、裕福すぎなくても、安定した生活を送りたい、あるいは人や仕事と関わりながら、死ぬまで楽しみたい、という方は少なくない。本書を通じて、高齢者の労働の未来が明るくなるか、それとも暗くなるのか、それを考える伏線となった一冊である。