この地名が危ない

日本地図を見たり、地名を見たりすると、地名には歴史や文化がルーツとなって名付けられているのがほとんどである。全国各地にある地名を挙げると数え切れないが、その一つ一つ調べていくと、歴史を知り、文化を知る事ができるため知的好奇心が増大してくる、増大してくることによってさらに別の地名を調べたくなると言うような状況に陥る。

ここまでは明るく行ったが、実際に起こった東日本大震災を始め、火山噴火や災害によって名付けられた場所も「地名」として表されているのだという。

本書は「地名」の観点から災害の危険性のある所について迫っている。

Ⅰ章「地名が教えていた東日本大津波」
東日本大震災において最も甚大な被害を及ぼしたのは大津波である。海岸からの津波による被害だけではなく、海から遡上し、川の近くでも津波の被害があった。大地震直後の津波に第一波がやってきて甚大な被害を受けた動画の中で仙台市の名取川の河口付近の津波の状況は今でも残っている。
本章では、他にも女川・小名浜・気仙沼といった所と津波のルーツについて取り上げている。

Ⅱ章「地名は災害の記録である」
地名が災害を知らしめている所は数多くあるが、本章では2004年に起こった新潟県中越地震が起こった場所、そしてどうして地震が起こるべくして起こった地名か、地震による土砂崩れが起こった芋川などが挙げられている。

Ⅲ章「災害にはキーワード地名がある」
今から18年前の1月17日に「阪神淡路大震災」が起こったのだが、その震災も、神戸にある「灘」と呼ばれる地域、さらには六甲山と呼ばれる場所にキーワードがあるのだという。さらに東日本大震災で甚大な被害を受けた「石巻」にちなんで「石」や「岩」を冠する地名と災害との関連性について考察を行っている。

Ⅳ章「災害危険地帯の地名を検証する」
地震の危険性のあるものとして首都圏直下型地震とか、南海トラフ地震とか言うものがある。実際にシミュレーションしたものも存在する。中でも著者が心配しているのが「湘南」。本章を読んでいくと、自分もそこの付近に住んでいるため、心配になってきた。

Ⅴ章「<三大都市圏>怪しい地名を検証する」
東京・大阪・名古屋の三大都市にも地震の危険性のある地名が存在するという。とりわけ著者は「首都圏直下型地震」は必ず来ると本章にて断言している。ではどのような所で直下型地震が起こるのか、地名のルーツと共に追っている。

私自身、本書を読む前は一見「トンデモ本」の印象を持ってしまった。しかし最初にも書いたように地名には歴史や文化によって作られており、震災などの災害も歴史・文化の一部に含まれている。本書はそのことを再認識した一冊と言える。