「正月」のない歳時記

あけましておめでとうございます。

2014年「蔵前トラックⅢ」、及び「蔵前トラック アーカイブ」をよろしくお願い申し上げます。
さて最初の書評はこちらです。

「正月」にちなんで本書を取り上げてみるのだが、本書は近代における「季語」を取り入れることにある。その「季語」は俳句では重要な役割を持っているのだが、春夏秋冬、そして新年とどのような枠組みなのだろうか、本書は出版社である「木阿弥書店」の70周年を記念として、季語について迫っている。

<太陽暦への移行>
日本において太陽暦が採用されたのは、明治5年のときの事、12月3日に突如、明治6年の1月1日にした。それ以降まで採用されていた「太陰暦」と呼ばれるものを「旧暦」と呼ばれ、その時の正月のことを「旧正月」と改められた。

<春の部>
江戸時代までは正月や新年が「春」だった。ところが太陽暦が採用されてからは「正月」の季語は「旧正月」について、さらに、寒さから開けることから「寒明」もあれば、学校では卒業シーズンもあるため「卒業」というものがある。

<夏の部>
夏は動植物が最も繁殖する季節であるだけに動物に関する季語も多く、季節の中でも最も多く種類がある。しかも季節感のある、春や秋のシーズンの狭間にある季語もすべて夏に含まれるため、「夏」とひとえにいっても、「梅雨」もあれば、「晩夏」もある。

<秋の部>
秋というと「食欲の秋」とか、「スポーツの秋」とか、そういった言葉も出てくるのだが、季語はどのようなものがあるのか。「十五夜」とか、「秋刀魚」とかが挙げられる。さらに昔の事件についても「関東大震災」も含まれている。

<冬の部>
冬のシーズンには寒さや暖かさ、さらには七五三からクリスマスといった行事もある。これは冬の寒さと、部屋の中にある暖かさなどが取り上げられている。

<新年の部>
本書のタイトルに記載されているように、「新年」の季語には存在しない。そのかわり「初日の出」「御用始」といった言葉が存在する。さらには正月の遊びとして「福笑い」や「羽子つき」「独楽」なども季語として取り上げられる。

俳句は31文字で様々な表現を表すのだが、それはかなり奥が深い、それにヴァリエーションに富む「季語」も加われば、単純でありながら俳句は奥が深い、そのことを本書を通じて表しているといってもいい。

今後も「蔵前トラックⅢ」のご愛顧をよろしくお願い申し上げます。