匂いのエロティシズム

「匂い」とは不思議なものである。匂いの良し悪しによって人の感情をコントロールさせることができる。時には快感をもよおしたり、不快感を出したり、安らぐ気持ちにさせたりすることができる。その匂い自体が、相手から出ている場合は、その相手からの感情についても、良くも悪くも変わってくる。

その中で、「匂い」において性的な感情、いわゆる「エロティシズム」をおぼえる人も少なくないのだという。そのエロティシズムのメカニズムについて取り上げているのが本書である。

第一章「媚薬と香り」

「媚薬」と言うと、お決まりのものとしては飲み物などに一滴の液を垂らし、それを飲んだ人が瞬時に性的な欲求を起こしてしまうと言うようなイメージを持ってしまう。著者も香料会社に勤める前までは同じような考えだったという。もっとも「媚薬」とはどのような香料で使われ、どのようなことで用いられていたのか、そのことについて取り上げている。

第二章「エロスと進化論」

人間としての体臭が強調される所の一つとして「腋の下」がある。そう「アポクリン汗腺」のそれである。臭いがきつくなると鼻をもぐようなことになるという。それはさておき、「腋の下」からなぜ匂い(臭い)が出てくるか、そして人間の進化における「匂い」のあらましについてを述べている。

第三章「フェロモンからエロスへ」

フェロモンは人間に限らず、動物に存在する。動物によってはフェロモンによって相手の行動を察知するというような事があり、中にはフェロモンを受け取ると、単独で行動していたものが集団になると言うような種類もいる。他にも本章のタイトルにある通り、フェロモンにより性的な感情を起こすと言ったこともある。よくある「フェロモン」となると「エロス」を連想するが、実際にはその「フェロモン」自体はある種の「信号」であり、匂いとは限らない。

第四章「鼻とセックス」

性的な匂いを嗅ぐことによって、性的な感情をさらに増幅するようにもなる。男性は女性の、女性は男性の匂いがあるのだが、どのような匂いかについては本章を読んだ方が良いとしか言えない。ここで書くと当該記事がR-18指定になりかねないためである。

第五章「匂いに感じる人々」

よく「匂いフェチ」と言う言葉を聞く。もちろんフェチになるほど性的な欲求を引き立たせる「匂い」はフェチになっている人それぞれであるのだが、なぜ「匂い」に惹かれるのか、そのメカニズムについて追っている。

人間には「五感」という感覚を持っており、その中に「嗅覚」がある。嗅覚の受け取り方によって相手に対しての感情も変わってくる。本書で紹介されるように性的な感情を増幅させるようなことも可能である。