神様でも間違う

本書の著者は警視庁の警察官として23年間勤務し、退職後は11年間ジャーナリストとして冤罪事件や警察の腐敗についての取材に尽力した。しかし2010年11月に自殺。いったいどのようなきっかけで自殺をしてしまったのか、今でもその真相は闇の中に包まれている。

ちなみに本書が出版されたのは2012年6月。実質的な「遺作」と言っても過言ではない。というのは、自ら経験し、取材してきたもの全てが本書のストーリーに凝縮されているように思えてならないからである。

「神様でも間違う」というタイトルはなかなか面白く、神様というと「完璧」とか、「間違えるはずがない」と言うようなイメージを持たれるが、著者は「決してそうではない」と言うことを主張したかったのかもしれない。ちなみに本書で言う「神様」は、取り締まりの「神様」としての「警察」を指しているのだろう。

警視庁管内で起こった連続殺人事件だが、事態は警視庁内部の闇にまで入り込んでいくように思えた。しかし主人公の新米刑事は闇を知りながらも、解決をしていく、正面から事件の真相を追っていく姿が見えた。おそらく著者自身の人生か、それとも著者が追い求めていた警察官の「姿」のようにも見えた。

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